暖冬をGDPで見る人

 そういうお仕事の人が、そういう立場から見るならば仕方がないとも言えますが…
 暖冬でGDPが6200億円消失

 この冬、日本は記録的な暖冬に見舞われている。2006年10〜12月期と2007年1月の東京と大阪の平均気温は観測史上最高の気温となった。

家計消費全体で見れば日本の暖冬は悪影響となる。事実、10〜12月期の実質家計消費前年比と東京・大阪の平均気温前年差の関係からは、気温が上昇した時に実質家計消費が減少するという明らかな連動性が見られる

 最終的に、家計消費の減少による輸入減少や在庫増加の影響も考慮し、今回の暖冬(10〜3月)が経済全体へ及ぼす影響を試算すれば、平均気温が平年並みとなった場合に比べて5215億円、前年比で6205億円ほど実質GDP国内総生産)を押し下げると見られる。

 足元でも、昨年12月以降の金融政策決定会合において個人消費や物価に弱い動きが見られるとして利上げが見送られている。個人消費の弱さには少なからず年度前半の日照不足や暖冬が影響しているとすれば、気候変動は最近の金融政策にも影響を及ぼしていると言える。


 冬に雪が積もる地方に暮らすというのは除雪のコスト(金銭的にも肉体的にも)をはじめ、雪が降らない地方に住む人と比べ大きな負担を甘受するということでもあります。昨年度みたいに例年以上の大雪になりますと、普通に生活しようとするだけで大層な苦労がいるわけです。(家から車を出すだけでも毎日十分も除雪が必要とか…)
 もちろん雪が降ることを想定しての職業などもありますし、寒いからこそ商売になるという方々も当然おられます。それでもトータルでプラマイゼロというわけにはいかず、やはり寒冷地全体で見ればただ住むだけで平均以上のコストがかかっているかと…。


 両親が住むところは全然豪雪地帯ではないのですが、それでも毎年雪は積もります。除雪とかも手伝えず、離れて暮らす子供にとっては少し心苦しいところもあるのは確かです。だからこそ今年度みたいに暖冬小雪だと、まあ良かったと思います。


 立場の違いというのはこういうことなんだなあとちょっと感じます。一つのことにデメリットを見るかメリットと受け取るか、それは立場によって当然違うこともありますから。別に上記記事にむっとしたりしているわけではありません(笑)


 ただこういう試算的行為につきものの「見落とし」はあるように思いますね。家計消費が減少し、GDPが増えないということを暖冬に捉えながら、除雪の労力やそれに伴う疾病・傷害の減少、特に積雪のある地方では高齢者の比率が高いですから、そういったものが結果的に地方の疲弊を少しでも緩和している側面もあろうかと私には思えます。お金が動くことばかりが影響ではなくて、お金が動かないことの影響というものも勘案しなければならないんじゃないかと。素人考えですが…


 完全な試算・評価などというものを求められるものでないとは認識しています。でも数値を用いるものであっても、やはりそこには想像力というものが必要でしょうね。