友情は…

■人間関係も損得勘定だろ?

 人間関係も損得勘定で成り立っている、というと嫌な顔をされる。そして私とその相手を含む自分たちの関係も損得勘定なのか、と問われ、友情を大切にするメリットについて熱く語られる。
 困ったときに助けてくれるとか、いろいろなことを教えてくれるとか。
 「メリット」があるから大事にした方がいいのなら、それは損得勘定じゃないか。
 そうつっこむと、こいつには何を言ってもダメだ、という顔をされたり、もうおまえとはしゃべらないと言われる。
 何を怒っているのか分からない。誰か説明してください。

 いろいろ皆さん考えておっしゃっておられますが、メリットと「得」は同義ではないということでしょうか。


 友人関係あたりに絞って言いますと、メリットがあるから友情を選ぶという言い方は「説明」の時に言葉足らずに出てしまうかもしれない言葉で、実はそのメリットは「損」することができるということも含んだ言い方だったりします。
 損得で捉えれば損にしか過ぎないようなことでも、実は人にとってとてもありがたいものかもしれないのです。


 『俺たちは天使だ』というドラマがずっと昔にありました。主演の沖雅也氏がああいう形で亡くなられたので、再放送も、語られることすら多くは無くなってしまった感がありますが、私は大好きで見ていました。その主題歌はSHOGUNというバンドが歌っていた「男たちのメロディー」。いまだにカセットにとって持っています。

 走り出したら何か答えが出るだろうなんて
 オレもあてにはしてないさ
 してないさ
 男だったら流れ弾の一つや二つ
 胸にいつでもささってる
 ささってる uh


 Pick up you head
 Throw away your blue's
 どうせ一度の人生さ
 The more you give, babe, the less you lose, yeah
 運が悪けりゃ死ぬだけさ
 死ぬだけさ


(作詞 喜多條忠 作曲 Casey Rankin)

 微妙にニヒリスティックな歌詞なんですが、「The more you give, the less you lose」はあれから今に至るまで私の一つの座右の銘みたいなものです。まあなかなかそう思えないからこそ、自分に言い聞かせるために座右の銘にしている…という感じですが(笑)


 友達は、自分が与えることのできる人を指すと思います。普通何か他人に与えることは、「贈与の一撃」となって相手に負担にもなります。それが心置きなくできるような関係になって初めて友達と言えるのかなと思います。人に与えることは「損」です。でもそれは自分にとって世界との紐帯を確かにするという意味も持つことがあります。そういう損ができる相手、それが友達なのでしょう。
 ですからこの私の定義では、友達を持つことは損得感情ではないと言えるんですね。他の人間関係も、こういうところから進めて考えればわかってくるように考えるのですが…