一面の理想

 問題を突き詰めて考えるというところで、ふと先日読ませていただいた記事の一部を思い出しました。
 ma_cocotteさん@Tant Pis!Tant Mieux!そりゃよござんした。4月2日の記事:あなたの≪ identite nationale ≫は何ですか? です。

そんな3月26日である。早朝の生インタヴュウ番組 Les 4 Verites レ・キャトル・ヴェリテ、=4つの真実に次期大統領候補の一人である Arlette Laguiller アルレット・ラギイェ女史が登場した( http://les-4-verites.france2.fr/index-fr_1024.php?id_article=669 )。このラギイェ女史は今回6度目の共和国大統領立候補であり、極左として知られている。彼女はしばしば Internationaliste アンテルナシオナリスト と呼ばれるのだけれど、どうもアナキスト無政府主義)系らしい。この彼女がこの番組の中でこんなことをおっさった。


 フランスは大金持ちの国です。大ブルジョワ主義でもあります。
 ですから世界中の貧しい国々がフランスと等しくなるまで、フランスは彼らの全てを救い続けねばなりません


と。つまり、世界中の国の力や財力や労働力がまったく等しくなるまで、フランスは国のアイデンティティを自分よりちょびっとでも貧しい国に注ぎ続けねばならないというのがラギイェ女史の考えなのであった。
(強調引用者)

 国家間格差「不正義」について突き詰めると、これは一つの有り得べき結論だろうとは思います。一つの理想です。


 ただこの時思いましたのは、「自分」が自分の意志ですべてを(等しくなるまで)与え続けるという行為を、そのまま社会集団―国の次元にもっていくことができるだろうかということでした。
 おそらくラギイェ女史にとってフランスがこのように崇高な行動にでなければならないと考えるのは、「大きな自分」であるところの国家がその意志(善意)を一にしてそれをすべきだと(すれば素晴らしいと)信じておられるからだと思うのですが、それは多様な意思を併せ持つ実際のnationから離れた(妙な)「理想の国」なんじゃないかと思えるのです。 それはユートピアなのでしょうか、ディストピアなのでしょうか。ラギイェさんはそこらへんについてきちんとお考えなのでしょうか。
 一つのことを突き詰めて考えていると、その他の諸事象については考えが簡略化され疎かになるのではと少し感じる時があります。