『沈黙の艦隊』のボート問答

 昼休みに家に帰って見つけてきました(近いのはすごく楽です。何冊か買っていた「大望総集編」の第16巻でした)。かわぐちかいじ沈黙の艦隊』VOYAGE162にその問答がありました。少し趣を異にしますが…

「4党首の選択」
(やまと解散での衆院選挙を目前にして、民自党幹事長海渡一郎、新民自党党首・内閣総理大臣竹上登志雄、鏡水会党首大滝淳、革新連合代表河之内英樹の四党首によるテレビ討論が行なわれている)


司会:最後にひとつだけ私からお聞きしたいことがあります
   党の政策ではありません。それは「ある状況に置かれた時あなたはどう行動するか」ということです
   あくまで個人的見解を是非お答え頂きたいのですが、拒否されても結構です
   ある状況とはこういう状況です
   …
   今 あなたの乗ったゴムボートが遭難し漂流しています
   生存者は10名 救助を求めて大海原をさまよっています
   ところがこの中の1人に伝染病感染が確認されました
   感染すれば死に至る病であることも判明しました
   放置しておけば他の9人全員が感染する恐れがあります
   ボートが救助される見込みは今のところありません
   あなたが この10名のリーダーだとしたら どんな行動をとられますか?
   …
竹上:感染すれば全員が死ぬ…と仮定しての話ですな
司会:その通りです ボートには医師もおらず医薬品もありません
竹上:まず 自分が感染した当人である場合…
   自分以外の者からリーダーを選出し 私はその人間の指示に従います!
   そしてその感染者が自分以外の場合…
   なるべく早くその感染者をボートから下ろします! 私はこの行動の全責任を負います!
司会:それは"殺す"という意味ですか?
竹上:1人でも多くの生命を守ること……それが政治です!
   …
河之内:私はまず…全員にその事実を知らしめ そして全員による話し合いを求めます
司会:話し合っても結論がでる保証もないし 時間もないと思いますが?
河之内:全員従うという了解を得た上で 多数決の決議を行なう
   政治とは……ルールを設定しそれを守るということだ 感染者が自分であれ他人であれ同じだ!
   …
海渡:いかなる極限状況であれ少数を殺すことはできん! ならば全員死すべきである!!
   政治とは"神"の代理行為ではない!
   そして……もし感染者が自分ならば 迷うことなく私は海に飛び込み己を始末する!
司会:それでは少数を殺さないという理念に反しませんか?
海渡:いかなる状況においてもわれわれは公人なのだ
   政治家に"私"などあり得ん!
   …
大滝:私は人間であることをやめない! 10人全員が助かる方法を考えます!
司会:それはどんな方法ですか!?
大滝:わかりません……だが考え続けます!
   …
司会:日本は今重大な危機を迎えています その危機を乗り越えていくために
   この番組が手助けになることを 私は信じています!
   本日はご出席ありがとうございました これで"党首対決"を終わります!

 文字におこしてみると、エクスクラメーションマークがすごく多用されています(笑)
 下の例でいいますと竹上総理が「状況倫理で結果の功利性に立脚する立場」、海渡幹事長が「原則倫理で生命の平等に立脚する立場」プラスアルファ、大滝党首が「折衷的態度」、河之内代表が「その他の立場」といったところに近いでしょうか。海渡さんは自分を犠牲にするというオプションも示しておられますが。