留年で自殺

高崎経済大学で准教授の行き過ぎた指導で20歳の女子学生が自殺 准教授を懲戒免職

高崎経済大学で、准教授の行き過ぎた指導により、20歳の女子学生が自殺した。大学側は、この准教授を9日付で懲戒免職処分としている。
「あなたは私の弱さに思い知るかもしれないが、私はすでに自殺をすることを決定しました。私は心より感謝し、謝罪します」とのメールを出した当日の1月15日、20歳の女子学生が、群馬県内を流れる渡良瀬川に飛び込み、自殺した。
この女子学生が自殺した理由は、准教授の行き過ぎた指導が原因だったという。

ことの発端は2006年の夏、ゼミに参加していた20歳の女子学生ら3人に対し、38歳の男性准教授が、大学院生レベルの高度な宿題を出し、「提出が遅れれば、留年させる」と電子メールで通告したという。
その期限となる2007年1月15日、女子学生は午後7時26分、准教授にメールで、「こんな出来損ないの面倒を見させてすみませんでした。お世話になりました。ゼミ楽しかったです」と送り、自殺した。
石井経済学部長は「自殺した学生は、非常に成績が優秀でして、(ゼミを)休んだことは1度もない」、「(准教授は)学生が自殺すると言えば教員は何もできないのかと、そんなはずはないと」と、自殺にはもっと別の要因があるとしている。
また、この男性准教授は、ほかの学生に対しても、度を越したセクハラ発言などがあったという。
准教授について、学生からは「(准教授は)ちょっと個性的な方らしいという話は聞いたことあります」といった声が聞かれた。(後略)
(FNN HEADLINES)

 直接リンクが張れませんので長めに引用。
 「大学院レベルの宿題」とか「度を越したセクハラ発言」とかはちょっと印象操作っぽいと思いました。
 「学生が自殺すると言えば教員は何もできないのか、そんなはずはない」というのも一つの正論。


 その上で、ここに出ている限りの情報でも38歳の准教授に指導上の問題があったと私は考えます。
 高度なレベルの課題を出しても、指導が適切であれば学生は結構ついていくものでしょう。まして亡くなられた方は優秀で真面目な学生さんだったようですし。
 私自身は「ゼミ」制みたいなものは学部で経験していませんが、かなり個人指導も含んだ濃密な教授関係だと聞いています。教員側が一人一人の学生の顔を知り、レベルを知り、見合ったレベルのタスクで指導するということならば、この教員の不適切な課題設定というものは責めを負うに値するでしょう。「行き過ぎた指導」というより、ちゃんとした指導がなかったのではないかという感じを受けます。課題をぽんと出すだけならそれは指導の名に値しないと思いますし*1
 ちょっと引っかかるのは、遺書の「あなたは」という呼びかけですが…。

追加

 毎日新聞のニュースで、催促メールについての新しい情報が少しありました
<高崎経済大>准教授を懲戒免職 ゼミ女子学生の自殺で

(前略)
 大学によると、准教授は昨年6月、ゼミ生に夏季の宿題として高度な課題を課し、女子学生は一部を提出していなかった。准教授は12月、未提出の3人に「提出しなければ留年」などとメールを送信。期限の1月15日夕、未提出の2人のうち女子学生だけに催促のメールを送った。女子学生は「留年すると分かっています。人生もやめます」と返信。同夜、同県みどり市渡良瀬川に投身自殺した。


 大学の調査委員会はゼミ生や他の教員からの事情聴取で、宿題が2年生としては難解で留年通告が女子学生を自殺に追いやったと結論付けた。また、准教授は他の学生に度を越したセクハラ発言などの暴言があったという。准教授は「間違ったことはしていない」と反論しているという。【伊澤拓也】

さらに追加

 高崎経済大懲戒免職の准教授 以前も処分(日テレNEWS)
 時間がとれずにいるうちにどんどん情報が出ているようで、最初に書こうと思っていた内容がかすんでしまいました。これは大きい括りで書くよりも、この件だけの特殊なものということでいいのかなと…

*1:もしかしたら亡くなった学生に特別目をかけて(期待して)いたのかもしれません。でも「留年」という脅しで退路を断っての要求ですから、それこそ届くかどうかぎりぎりというぐらいの(逆に相当頑張ればできるだろうという目処がたつぐらいの)設定が必要だったはず。本当はそこらへんのことがちゃんとわからない限りこの自殺についての見極めは外からできないのでしょうけど…。