プレゼンテーション

(四、五十代絡みの標準語で話しているつもりの関西人のおっちゃんが話しているイメージ)
 …ところでね、ホームレスの人たちいますよね。いやあ実はほんのたまに炊き出しとか手伝ってるんですよ、私。たまたまそういうことしてる牧師さんが知り合いにいてましてね。そう。夕ご飯一食用意するぐらいですけどね。びっくりしますよ。結構な数の人たちが集まってくるんですわ。そういう炊き出しは受けないって頑張られる方も少なくないんですけどね。いえいえ身の危険てあなた、むしろ怖がってるのはホームレスの人たちですよ。そう、新聞とかでもありますよね。悪いのがいるもんです。直接会って話してみればね、そりゃあの人たちも普通の人間だってわかりますよ。もちろん身の上なんて根掘り葉掘り聞くようなまねはしませんけど、こう、ね、何回か食事につきあってぼちぼち言葉を交わしていくとわかるんですわ。この人たちも自分らとかわらんなってね。いや、いろんな人がいますよ。おっさんがほとんどですけどね。たまに若いのとか女の人とか。ブログやってる人もいますよブログ。ブログ知りませんか?そうそうそれそれそれですよ。家はないけどネットカフェーたらいうところから時々つないでおられるそうでね。あなたより進んでますな。犬飼ってる人もいますね。ぜいたくって、そう、傍からぜいたくに見えるかもしれませんけどね、これ自分の食べるもん削ってもわんこにあげてるんですよ。止めるわけにもいかんでしょう。ああ、あなたは猫派でしたか。半野良の猫もね、いるんです。これがもうかわいいかわいい。そうそうそうわかるんですよね、猫にもいい人とか悪い人が。去勢ですか?さあ、やっぱりしてないんじゃないですか。さすがにそこまでお金が回らんでしょう。でもそれより本人さんたちの病気が大変なんですわ。私らとは違うグループでね、医療相談会とか時々やられる方から聞いたんですけどね、やっぱり保健保険がないでしょ?病気が一番の不安だっておっしゃるんですよ。それでね、実際に発病する人もそうなんですが明日のこともわからないような境遇でしょ?やっぱりストレスで神経が参っちゃってる人も多いそうでね、何とかならんかなあって言っとられましたね。それ知ってるもんですからね、犬猫をどうのこうの言えないんですよ。精神衛生でね、アニマルテラピーたら…そういうもんだと思いますよ。いえね、あの人たち見てるとほんとに運が悪いだけなのかなぁって時々思います。運だけでこれだけの人がこう野宿しなきゃいけなくなるもんかってね。どっか社会の方で間違ってるところもあるんじゃないですかね?明日はわが身って思う人も多くないんですわ、実際。私もね、昔は自業自得やろと思うとこもありましたけどね、本人目の前にするとそうやって責めていいもんじゃないなと正直思いますよ。全部が全部本人の責任とかいうことはさすがにないでしょ。みんないろんな人生抱えておられるんですわ。私はほんとにね、いや愚痴も時々いいますけどね、あ、飲んだとき煩かったですか、勘弁してください。いやそうやってね、愚痴も言うわけですがね、今は恵まれてるなあってちょっと思えるんですよ。そう思えるからほんの時々ですけどね、支援活動のお手伝いをさせてもらってるんですわ。自立支援ですか?そりゃ何かかにか行政がやってるもんもあります。全然助けになってないとは言いませんけどね、足らないようですしね、どっかあさってのほう向いた支援だったりね、ひどいのになるとおっちゃんたちいじめてるんじゃないかっていうのもあるみたいですね。ここらは幸いそういうのはあまりないですけど。施設ですか?ええ私が実際に行ったわけじゃないからあれなんですけどね、どうにもこうにも中途半端だって聞いてますよ。半年入ったらまたどうせでなきゃいけないとかですしね。おっちゃんらが今持ってる私物とかも持っていかれんみたいですしね。猫とだってお別れですよ。急に明日から入れって言われてもなかなかできないのと違いますか?どうです?そこらへんは直接ご本人さんたちに聞いてみられては?またね、来週炊き出しがあるんですわ。あ、そう。そうですか。いややっぱり急は無理ですわな。まあね、今どうのこうのすぐ動けないというのもわかります。残念ですけどまた今度ね、今度お誘いしますよ。どうです、もしよろしかったらこっちでまとめた簡単なパンフレットがあるんですよ。今度お預けしますから読んでみてください。カンパとかはいつでも歓迎ですわ。いやいや直接はまずいですし、私飲んでしまいますよ(笑)まず私らがどんなことやってるか知っていただいてね、それで末長くおつきあいいただいたほうがね。そのほうが長い目でみればいいんですよ。まあこういうのに関わってますとね、無関心が一番怖いんですわ。だからね、ちょっと話を聞いてやろうってね、そう思ってくれただけでありがたいですほんとに。まあね、いろんな人生ですからね。こうやって話を聞いていただいたのも他生の縁でしょうしね、またお願いしますわ。あとね、こういう話を誰かにしてみて、少しでも興味がありそうな人があったらこの私の名刺、これお渡しいただけませんか?この連絡先にお電話でもいただけたら、ええ、ええ若い人大歓迎ですよ。若いうちはなんでもできる。歳取るともう気力が落ちてだめですわ。あっはっは。


 …というような情宣を考えてみました。
(※このお話はフィクションです)