清浄歓喜団

清浄歓喜団

 京都の人でもあまり馴染みがない「清浄歓喜団」。
 現在は八坂神社の石段下南、京菓子司「亀屋清永」だけで作られています。
 うちのブッタにお供えしていましたが、そろそろ食べましょう。
 八つ橋生地で包んで堅めに揚げた餡ドーナツ+お香のかおり…といった感じ。


 亀屋清永の店頭には「御用達」の木札がずらりと並べられ、洛東を中心にした有名どころの寺社が勢揃いといったところです。

総本山知恩院御用達
八坂神社御用達
賀茂御祖神社御用達
比叡山延暦寺御用達
大本山黒谷御用達
清水寺御用達
大本山南禅寺御用達
山崎聖天御用達
妙法院門跡御用達
水無瀬神宮御用達
清荒神清澄寺御用達
大本山百萬遍御用達
総本山誓願寺御用達
大本山清浄義院御用達
真如堂本山真正極楽寺御用達
本山獅子谷法然院御用達
本山龍池山大雲院御用達
大本山金戒光明寺御用達
霊山観音御用達

 この清浄歓喜団、仏教語でよめば(しょうじょうかんぎだん)となりそうなものですが普通に「せいじょうかんきだん」と呼ばれています。「歓喜」の名から連想されるように、もともとは「歓喜天大聖歓喜天・聖天さま」(象頭の夫婦双身像で知られる夫婦和合の神)にお供えするお菓子です*1歓喜丸とも言われます。今は主に天台・真言密教系のお寺のお供え物として数えられているようです。
 奈良時代遣唐使によって仏教とともに渡来した唐菓子(からくだもの)の一種、「団喜(だんき)」に分類されます。その製法は「小麦粉、米粉などを捏ねて様々な形に作り、木の実・蜜・柿・杏などの甘みをつけ、油で揚げる」のが本来でした。歓喜団は、歓喜天男神の持つ巾着袋の形を模したものになっています。


 「亀屋清永」さんは元和三(1617)年の創業で、開業当時比叡山から製法を教えてもらったそうです。最初は栗・柿・杏といったもので甘みをつけていたものが、江戸の中期頃からお砂糖が使えるようになり、今の小豆餡を入れる形になったとのこと。
 この清浄歓喜団を作るときは当主が精進潔斎し、衣服にも香を焚き染め、小麦粉・小豆餡・桂皮・竜脳・丁子・白檀・七種のお香、そしてあと三種の秘伝の材料を用いて作られるそうで、そのタネをごま油で20分から揚げるのです。揚げた歓喜団は表面がかちかちになっています。お供えするときは山形に(月見の団子みたいに)積み上げられます。
 通信販売でも購入できますが、単品一個525円とお安くありません。大きさは径が40〜45mmといったところです。しっかり揚げてあるので日持ちはします(賞味期限2週間)。
 ほのかな香の匂いが私は好きです。

*1:聖天さまには、大根・お酒・歓喜団の三種がお供えされます