メタボ

 シンドローム(症候群)というものは、もともと医学的な因果関係(病因>疾患)が明確なものでないものについて、症状の側から「何か同じ症状(群)のものがあるが、これに共通の病因があるのではないか」と推測されるものにつけられた名称だったと憶えています。
 以前は病因が明らかでないものに「シンドローム」の名称が付けられ、病因がはっきりしたものについては病名が別につけられていたはず。最近では病因と目されるものが明確になってもシンドロームと呼び続けるようになっていますが…(cf.AIDS)。


 さて、メタボリック・シンドロームについてですが、次のような記事を目にしました。
 メタボと寿命、薄い関係?自治医大が2000人追跡調査

 メタボリックシンドローム内臓脂肪症候群)の人と、そうでない人との死亡率にほとんど差はないことが、自治医科大学の調査でわかった。


 内臓脂肪型肥満(腹囲が男性で85センチ以上、女性で90センチ以上)であることに加え、〈1〉血液中の脂質の異常〈2〉血糖値が高い〈3〉血圧が高い――という三つの危険因子のうち二つ以上に該当すると、メタボリックシンドロームと診断される。


 自治医大地域医療学センターの石川鎮清講師らは、1992〜95年に全国2176人(男性914人、女性1262人)の健康診断データなどを調べ、2002年末まで追跡調査している。このデータを使い、メタボリックシンドロームの該当者と死亡率の関連を調べた。


 対象者のうち、02年末までに男性が79人、女性が58人死亡。死亡者には、調査開始時点でメタボリックシンドロームに該当した男性82人中7人、女性22人中2人が含まれていた。


 年齢や喫煙、飲酒習慣などの影響を調整して死亡率を比較すると、メタボリックシンドロームの人の死亡率は、そうでない人の1・09倍で、統計的に意味のある差はなかった。(後略)
(2007年5月12日14時38分 読売新聞)

 それでも「健康に長生き」とかいったあたりにはメタボリック・シンドロームは敵だと言えるのでしょうけど…


 それにしてもメタボについては、単純に内臓脂肪型肥満と呼称しないのにどうもすっきりしない感じが残ります。ただ単にラベリングして、メディアに強くアピールしたいと誰かが思っただけなのではないかと、上記のような記事を読めばますますそう思えてくるのですが…