半鐘泥棒

 「半鐘どろぼう」という言葉は背が高い人をからかっていう言葉だったはずですが…*1
半鐘盗難 座布団利用する手口

茨城県で火事を知らせる半鐘が次々と盗まれ、中国の業者などに転売されていた事件で、逮捕された男らは「地面に座布団を敷いて、火の見やぐらから半鐘を投げ落として盗んだ」などと犯行の詳しい手口を供述していることがわかりました。

この事件は、去年、筑西市など茨城県内で大量の半鐘を盗み、金属回収業者に売りさばいたなどとして、茨城県の男ら5人が盗みの疑いなどで逮捕されたものです。警察のこれまでの捜査で、盗まれた半鐘のうち青銅製の十数個は、茨城県内で数回にわたって売りさばかれたあと、中国の天津市の業者におよそ16万円で転売されたことがわかっています。
(中略)
警察は、男らが覚せい剤を買う金ほしさに、グループで半鐘の盗みを繰り返していたものとみてさらに捜査しています。

 これからは「覚せい剤を買う金が欲しくて犯罪をおかす人」という意味を追加できるかもしれません。


 それにしてもこの多発する「金属盗難」、間抜けなようでいて実はボディーブローのように治安への不安を心に植えつけるもののように思われます。ちょっと前に話題になっていた「農作物盗難」もそうですが、そこらへんにあれば何でも自分のために盗むという心性が拡がっているという事実は「人を見たら泥棒と思え」みたいないやな現実社会の認識を私たちに強いてくるもの。人目のあるなしではなく、他人のものは盗らないとか公共のものは私利で冒さないとか、そういうタガがはずれてしまえばそれは人びとの心から「他人への信頼」とか「安心」とかいうものを失わせてしまいます。
 重犯罪の件数が減少しているとかいう情報より、目先の欲得で動く人が増えているという情報のほうが治安への不安を根付かせてしまうものではないでしょうか…。

*1:確か都筑道夫の本にも「半鐘泥棒」というものがあったように思いますが、内容は忘れてしまいました