人質事件デッドライン延長

 アフガニスタン:交渉期限を24時間延長 タリバンが通告

イスラマバード栗田慎一】アフガニスタンで医療ボランティア活動に携わる20〜30代のキリスト教徒の女性を中心とする韓国人23人を拉致し、殺害を警告していた旧支配勢力タリバンは指定した交渉期限の22日午後7時(日本時間同11時半)が過ぎた直後、「期限を24時間延長する」とアフガン政府に通告した。タリバンは人質解放の条件に「駐留韓国軍の撤退」と「人質と同数のメンバーの釈放」を要求、同日現地入りした趙重杓(チョジュンピョ)・外交通商省第1次官ら韓国政府対策チームやアフガン政府との間で人質解放に向けたぎりぎりの交渉が続いている模様だ。(後略)
毎日新聞 2007年7月22日)

 解決にはほど遠いのですが、とりあえず一日の猶予ができたようです。タリバン側も交渉の実(今回はおそらく何人かのメンバーの釈放)を取りたいと考えているのではないかと見えます。
 それにしても「医療ボランティア活動に携わる」という表現は微妙でしょう。彼らはコメディカルでもなく、医薬品を届けるというあたりのことをしているわけですから。そして「20〜30代のキリスト教徒の女性を中心とする韓国人」という表現も嘘ではないでしょうが、どうしてこんなふうにぼかした書き方をしなければいけない(と毎日新聞が)思っているのかがかなり気になります。


 あるいはイラクでの日本人人質事件の際のような「自己責任論」的なものがこのニュースに絡んでくるのを避けたいと考えているのかもしれませんが、それにしてもこういうミスリーディングを誘うかのような記述を繰り返すようでは、メディアの中立性は信用できなくなると思うのですが…。
 昨日も思いましたが、日本のメディアはなぜニュースを受け取る側を「誘導」しようという感じが強いのでしょう。もしそれが「善導」だったとしても、はっきり言って余計なお世話にしか思えないんです。
 以下の社説のように強く意見を言う必要はないでしょう。隣国の人たちのことですから。ただ、情報は情報としてきちんと伝えて欲しいんですね。
 【社説】無謀過ぎるアフガニスタンでの宗教活動

 アフガニスタンで19日、京畿道城南市盆唐区のセンムル教会の信者や現地の韓国人宣教師ら約20人がバスで移動中にタリバン武装勢力に拉致された。信者らは今月13日にアフガニスタンに入国し、病院や幼稚園などで奉仕活動を行い、23日に帰国する予定だったという。
(中略)
 アフガニスタンでは今年2月、韓国軍茶山部隊所属のユン・ジャンホ下士(軍曹)が爆弾テロで亡くなった。4月にはイタリアの新聞記者と一緒に拉致された通訳が処刑される事件もあった。今回の事件が起きた前日の18日には2人のドイツ人が拉致されており、タリバーンの関与が疑われている。キリスト教への反感が根強く、銃撃戦や拉致、爆弾テロが横行しているアフガニスタンで、韓国人が宗教活動を行うのは無謀な行為だ。今回拉致事件が起きた地域の州知事は、「(被害者らは)戦乱で荒廃したアフガニスタンに来るべきではなかった」と語った。昨年の8月にも、政府外交部の度重なる警告や慰留を振り切ってある韓国のキリスト教団体がアフガニスタンの首都カブールで大規模な宗教行事を開催し、現地当局によって追放処分を受けるという出来事もあった。
(中略)
 政府は何としてでも拉致被害者を安全に連れ戻さなければならない。一方宗教団体もこれからはアフガニスタンをはじめとするイスラム圏で無謀な宗教活動を行うのは控えた方がよいだろう。そうした行為は国に困難をもたらし、国民を不安にさせるものでしかないことを、よく認識すべきだ。
朝鮮日報日本語版 7/21社説)