よこしまな話

 楳図かずおさんが吉祥寺に建築中の住宅をめぐってのケースで、某局のリポーターが長野県にあるすでに建てられた赤白縞の楳図さんの「別荘」を取材しているニュースがありました。リポーターの人は、別荘周囲の雑草が伸び放題であるのを見て「しばらく使われていないものと思われます。無法地帯になっています」と間違った日本語、もしくはひどく洒落た表現(笑)をして別荘を紹介していましたが、その中で
「建物の赤白のストライプが…」
と話した時、私は一瞬「ストライプじゃなくてボーダー!」と突っ込んだのですが、次の瞬間画面から星条旗を思い出し、それが Stars and Stripes と呼ばれていることに気づいてしまいました。何のことはない、私自身があまり根拠も無く「縦縞はストライプ。横縞はボーダー」というような憶え方をしていただけだったんです。


 ちょっと検索してみたら、Yahoo知恵袋でも「ボーダーとストライプの違いってなんですか?」という質問があって、ここでも

ボーダー
もともとはレースの端の縞、または柄のことを指したが、現在では横方向の縞柄のことを総称する。
ストライプ
縦,横、斜めの縞模様のこと。

 というような説明がなされていました。つまり衣料の柄の縦縞をストライプ、横縞をボーダーという言い方は一般にあるものの、基本的には縞模様をストライプと言うのが本来であるということでしょう。英和辞書でも

border へり、ふち、端、ふちどり
    境界
stripe しま、すじ、縞模様のある布地

 というような記述があり、ボーダーにもともと「横縞」の意味は無いようです。
 ちょっと検索した限りですが、壁紙は縦縞でも横縞でもストライプ。ネクタイでは斜め縞をストライプ、横縞をホリゾンタル・ストライプ、縦縞をバーチカル・ストライプと呼んでいるらしいです。本当に私が覚えていたようなボーダーに横縞、ストライプに縦縞の意味を持たせる呼称の区別は、日本でも身に纏う衣料品においてのみ通用する言い方だったらしいですね。
 たとえば「ボーダーストライプ」のワンピースとか、私は上半身が横縞で下が縦縞のスカート状になっているものを想起するのですが、日本以外のサイトでBORDER STRIPEを検索してもそういう縞の組み合わせを呼ぶ例は見かけません。Border Stripedの柄は、縁(ふち、へり)のところが縞柄のものという普通に英語の語感から想像されるものがあるぐらいなんです。


 いったいどこからこういう日本の衣料品業界の通称が生まれたのか、それは見た限りではわかりませんでしたが、「本来、横方向の柄を“ボーダー柄”と呼んだが…」という記述があったことから、想像を逞しくしてみればこういうことだったのではないかと思います。
 生地の柄で、縁にアクセントが置かれた柄があった。これを活かして縫製すると「横方向の柄」になる。それで横方向が強調される柄を(あるいは誤って)ボーダー柄と通称するようになり、いつしか一番横方向を強調する「横縞」がボーダーと呼ばれるようになった…。
 単なる憶測なのですが、ありそうな話ではないでしょうか。まあこういう憶測は置いておいても、海外で、もしくは輸入で衣料品を購入する際に、妙な間違いをしないよう自戒したいと思いました。ちなみに、
 衣服における錯視の効果宇都宮大学

全体的に見て、縞が最も細い縦縞のCが、細さ、背の高さ、感じよさともプラスの方に位置しています。

縞が細いものの方が、背が高く細く見え、感じがよい、同じ太さの縞であれば、縦縞の方が背が高く細く見えるということになります。

 ということで、やはり関心が向くのは「錯視」だったりするのですが…。参考になります。