小沢氏の行動に関しての感想

 小沢氏の辞任などというニュースを最初に聞いてびっくりしました。でもよくよく聞くと代表辞任の由。小沢氏の「民主党代表辞任」はむしろ有り得ることと思っていましたので、タイミングはともあれ何でこれほどメディアが騒ぐのかちょっと不思議です。街頭インタビューをいくつかの局でやっていましたが、「小沢氏が辞任ということで…」という聞き方ばかりしているようで、これはミスリーディングだろうと、国会議員としての活動はまだ続けるのですから(誤解を招くような・質問への正しい反応が得られないかもしれない)不用意な聞き方をするなあというのが正直な感想です。
 自分が、自分の政策を、自分の思うように実行できないとなれば「政党」というものにへたな未練を持たないというのが今までの小沢氏の行動の規範でしょう。だとすれば代表辞任どころか「離党」があってもおかしくないぐらいの見当だと思うのですが…


小沢氏辞任会見詳報(1)「けじめをつけるに当たり」
 徐々に二大政党(制)的状況に近づいてきているとは言え、現時点での民主党はまだまだ「アンチ自民」的票が集票の大きな柱になっていると思うのです。自民と異なる、かつ現実性の高い選択肢を出して、そのセカンドオピニオンとしての存在感が認められているというよりも、たとえば前回の参院選でも「自民にお灸をすえる」といったような与党への批判票が集まった印象があります。政権を担うだけの信頼感が寄せられているようにはなかなか思えません。(ただし場合によっては、すなわち自公政権があまりに酷ければ一度やらせても…ぐらいの意見は少なくないとも感じますが)
 そこらへんの状況判断・読み筋はプロの小沢氏にしても同じようなものだったんだと思いました。
小沢氏辞任会見詳報(3)「辞職願を出そうと考えたのは昨日」

 −さきほど、代表は民主党は力量不足と言っていたが、何が力量不足なのか。有権者に対する裏切り行為でないか。


 小沢氏 「力量不足というのは、あなた方がしょっちゅう報道している通り、政権担当能力が本当にあるのか、というような、あらゆる意味で今一歩という感じであります。あなた方もそういう観念で報道されているんじゃないでしょうか。また、私のことに関しては、国民には私自身がこういうことになったのは申し訳なく思いますが、まったくの事実無根の中傷報道がこのようになされていくなら、私がいることがかえって党のためにならない。障害になると判断した結果です」

 さすがに「(民主)党のために身を引く」というあたりは修辞だろうと感じますが、少なくとも党代表を続けることは「自分の(政策実現の)ためにならない」というお考えではないかと思います。


 ただし、結局は連立が長い目で見て「民主党」のためにならない…という気は私もいたします。それはゆくゆくは党勢衰退、埋没への道を辿るものである感もするのです。それを直感した民主党役員の方々は、提案を受け容れるわけにはいかなかったということなのかもしれません。
 ただ小沢氏にとっては「民主党のため」に政権交代だ何だとやる発想は最初から無かったのだと、自分の思うような政策実現のためならあとあと民主党が衰退しようがどうしようがあまり関心は無い…というのが正直なところだったのではないでしょうか。
 これは現民主党分水嶺、大きな転機だったということになるかもしれませんね。