ミシュラン東京批判

 ギョエテとは俺のことかとゲーテ言い
 ちょっと噂を聞きつけて「GOETHE」という雑誌を買いました。ミシュラン批判と、それより痛烈な山本益博氏批判が載っているということでしたので*1
 「緊急特集第2弾 『恥』を知れ!ミシュラン」と題した特集記事は8ページほどのものでしたが、読んでみて噂に違わぬカゲキな批判が語られていると感じました。最近と言いますか今年に入って、雑誌系のメディアではミシュラン東京批判がそれなりに目立つとは思いましたがここまで言うかという気も。電波メディアでは盛り上がりを過ぎてからは単に採り上げていないだけですが、こういう流れはいずれどこかで批判的な番組を作らせるというふうにいくのではないでしょうか。
 先月号(これは入手してません)では第1弾の特集があって、そこで言われていたこととしてまとめられていたのは次のポイントです。

1.匿名調査について …ちゃんとした匿名調査になっていないのでは?調査員の資質にも疑問が
2.掲載店の選択 …1500店以上を再訪する時間は最初からない。準備不足できちんと店が選べていないのでは?
3.同一の基準 …各国で一貫した基準というのに疑問。素材も国により多様なのにそんな基準はあり得ない
4.星の基準 …日本食に慣れていない外国人調査員がたった一年半で正当に評価できるはずもなし
5.星の内訳 …3つ星はそのために車で旅行する価値があるというお墨付きだったはず。飛行機で旅してくる価値というのとはもともと違ったのでは?

 大体こういうように書かれていたそうで、そして今号は「13の疑惑」と題して

01 星取りに私利私欲の絡んだ黒幕が数人存在する
02 国土交通省がバックについている
03 事前に試食調査もせずに掲載店を選んでいる
04 匿名調査とうたっていながら名乗った調査員がいる
05 発売直前に数合わせのために取材依頼するなど、明らかな調査不足
06 住所や店名など間違いだらけ。しかし3刷になっても対応せず
07 「京都版」を計画していたが、京都料理界から総スカン
08 見本誌すら送らない誠意のなさ
09 掲載を拒否した店が多数ある
10 フレンチでは『ロブション』派閥に偏る
11 出版パーティーに、仏料理人を彼らの自己負担で呼びつけた
12 アンケート封筒も同封せず、読者とのコミュニケーションがない
13 2009年版の依頼が始まっている

 というような小記事があり、さらにマッキー牧元氏のコラム、宇田川悟氏と見城徹氏の対談記事と続きます。やはり見所は幻冬舎社長の見城氏による山本益博氏批判でしょうね。これはもう「叩き」の領域。ネットではよく見かけるぐらいのものかもしれませんが、これをこういう月刊誌でやるというのは珍しいと思いました。
 この「GOETHE」、5年10年ほど前のパソコン月刊誌(たとえば月刊ASCIIなど)と同じような装丁に見えます。紙質が良く、きれいな写真が多用され、あまり厚くなくてもずっしりと重い雑誌です。もちろん写真はPCとかペリフェラルではなくて、ブランド腕時計とかスーツ、シャツ、小洒落た建物、食い物屋にゴルフコース、車や男の小物…といった感じで、広告が多くなければこの値段(750円)で出せないだろうなというくらい立派なつくりです。対象は20代後半から30代ぐらいの「お金をある程度持った男性」でしょう。レクサスに乗りたいと思ったり、ブルガリの腕時計をはめてみたいと「ちょっと背伸びして」思ったりするような(笑)この年齢層でこういう立派な雑誌を買う人が多いとはちょっと想像できませんけど。(私もまた買うとは正直思い難いです 笑)


 それでもこの対談は、近くの書店やコンビニで見かけたら立ち読みぐらいはする価値があるものと思います。訴訟沙汰にはならないでしょうか。「自己顕示欲の果てに今回の一件で、益博の評論家人生は絶たれた(見城)」なんて見出しが目を引きます。私は尻馬に乗るほどこの業界に詳しいわけでも、また山本氏に義理も同情も何もないのですが、これで黙殺しても相当ダメージがあると思いますね。これを「現代」とかがやるならまだしも。
 この雑誌も「幻冬舎」から出ています。スキャンダラスに名を売ってなんぼというところは確かにあるでしょうね。社長自らが批判の急先鋒に立ってますし、案外これからさらなる「バトル」が見られるかも…
 ミシュラン批判については概ね納得できる指摘です。裏情報云々は眉に唾して読みますが、次の号がミシュラン東京の真価を問うものとなるのは間違いなさそうです。