若手研究者対策

 昨日ローカルなバスに乗りましたが、そこで産総研の「任期付き若手研究員就職支援キャリアセミナー」の広告を目にしました。他の広告と同じような、代理店が作ったらしいちゃんとしたものです。

第7回 産業界就職支援セミナー
任期付き若手研究員就職支援キャリアセミナー 

 2007年より開催している任期付き若手研究員支援セミナー等で、参加者の皆様から『就職活動の仕方が分からない』『研究時間が取れない』『面談対策などをして欲しい』といった声が寄せられました。この度はその声にお応えして、企業への就職を希望する若手研究者向けの就職支援キャリアセミナーを開催いたします。 
 本セミナーは、ポスドク、公的研究機関・大学等に所属する若手博士(任期付き研究職員等)および博士後期課程在籍者を対象としています。当日は企業個別ブースにて、若手研究者の雇用を希望する民間企業(10社以上)と交流できる場を提供いたします。また、企業の採用担当者から「若手研究者の採用状況」等をテーマとしたお話を、ポスドク出身の社員の方々からご自身の経験談を聞くことができる機会もご用意いたしました。今後の就職活動に関する疑問点を専門の担当者(WDB株式会社)に直接質問できるブースもございます。(略)

日時 2008年3月8日 土曜日 10時30分 〜 16時30分 
主催 産業技術総合研究所 能力開発部門 人材開発企画室 
会場 つくば国際会議場 中会議室406、多目的ホール 
参加費 無料 
定員 100名 
申込方法 オンライン登録 
申込締切 3月4日 火曜日 12時00分 
(略)

 対象は「ポスドク、任期付き研究職員等の公的研究機関・大学等に所属する若手博士、及び博士後期課程在籍者」になっていますが、リンクから参加企業等を見た限りではやはりここに「理系の」という一語が隠れているみたいです(もちろん該当する可能性のある「理系」というのも限定されているでしょうが)。
 こういう試みはとても意義のあるものですし、救いになる人もいると思います。まだまだなところがあったとしても悪く言うこともありません。申し込み締め切りまであと少しありますので、自分のことかと思われた方はどうぞ。


 先日のasahi.comの記事、「秋田の「博士」教諭募集に全国から57人 就職難が背景」で知ったような「博士号保有者特別選考(pdf)」などの試みも、高学歴フリーター抑止の一つの試みとして評価できるものだと思います。こちらでは募集対象が理学・農学・工学・教育学(心理学を含む)となっていましたので、より幅広い救済策だといえるかもしれません。
 もちろんこれで運良く採用される人数が少ないとか、39歳などの年齢制限があるとか、まだまだ相手にもされていない分野が理系の一部や文系の広範にあることなど問題は山積ですが、大学院に行って就職困難になる人たちが多くいるというところに気付いてもらって、少しずつでもマッチングが考えられ、「今ある」危機への対応が拡がっていけばいいですね。


 それにしてもこの秋田の試み、ちょっと心配なところが実はあります。知人女性(大学院の先輩)の夫君の就職あたりのエピソードです。彼が40歳手前にして念願のアカポス秋田大学で手に入れることになったとき、当時の鉱山学部の学部長がはるばる彼女を訪ねてきて(旦那は北海道、彼女は関東にいるという状況でした)、「秋田に行っても大丈夫か」ということを時間をかけて聞いていったそうです。
 内定者には必ずこういうインタビューをするのかと尋ねたところ、最近ではするとの答え。で、その理由が、若手の研究職を採用して奥さんと一緒に秋田に来てもらったはいいが、一、二年もすると田舎暮らしがいやだと奥さんだけ帰ってしまう事例がいくつか続いたからとのことでした。さらに、そうした一人暮らしにも耐えられないと職を離れてしまう旦那さんも出たとか。それでまた人事をやらなければならないというのは大変だということで、内定段階で訪ねてきたということだったんですね。
 笑い話のような、でもどこか深刻な問題を含んでもいるような話だと思いました。
 もちろん彼女は大丈夫ですと答え、今あちらに行って二人のお子さんを育てておられます。彼女自身のキャリアはあまり活かせなくなってしまったのは残念ですが、ちょうど出産や子育てに時間をかけようと思っていらしたところだったので…。
 3月の11日に上記秋田の「博士号」教諭が発表されます。この試みがうまくいけば、これに続く都道府県も出てくるかもしれません。何とか大過なく(いえむしろすごくうまく)行って欲しいものです。