ちょっとだけ丕緒の鳥

 小野不由美の「丕緒の鳥」、これを書いた以上十二国の物語は続けられなければならないでしょう。そして何よりそれは慶の赤楽…となるはず。
 話の時代は慶の予青七年から赤楽元年、偽王が倒され新王が立つ前夜のエピソードです。丕緒(ひしょ)は人名、夏官府で射鳥氏のもと射儀を司る羅氏の男性でした。彼が仕切る射儀は慶王の即位など重い祭祀吉例の時に披露される「大射」と呼ばれる儀礼で、陶鵲(とうしゃ)というものを空に投げ上げてそれを射落とすもの。彼が鵲(かささぎ)に何を読み込み、どういう儀礼の演出になるか。それがお話の眼目です。
 最後にある声が彼にかけられますがそれは…


 いつの間にか壮大な歴史物に近くなっている感じがしますし、そういう大河めいたものはなかなか書けなくなると大変とも思います。それでもこちらは期待して待っているしかありません。特にこういう小品で想像を膨らませられた時には、一層待つのが楽しみでもありつらくも感じるところなのです。未見の方も多いと思いますので、取り敢えず今のところはこれぐらいで。(掲載誌などはこちらの記事に)