0.9999999...=1
数学で、感心してしまうような証明(一度聞くと忘れられないような)というのが私にはいくつかありますが、0.9999999...=1の証明というのもその一つです。
三分の一は 1/3 = 0.3333333...
それを三倍しても 0.9999999...にしかならないと子供の頃に私も思いました。なぜ 3/3 = 1と言えるのか…
0.9999999...= a とおきます
10a = 9.9999999... です
10a - a = 9.9999999... - 0.9999999.. = 9
つまり 9a = 9 となって
a = 1
が証明されるというわけです。
無限というものに神秘的(というかトリック的)なものを感じることはしばしばですが、これはきれいと言っていいほどすっきりした証明だと思いました。使っている式も代数を憶えたばかりで了解できるものですし。
たとえば碁盤の目のようになった街路を思い浮かべます。
この街の北東角(隅)から南西角(隅)へ向う時に一度も北なり東なりへ戻ることなく、すべての交差点で直進するか南もしくは西へ曲がるという条件で進むとすれば、どれだけ碁盤の目が増えようとも
西へ向う距離の合計は東西の辺の長さに一致し、南へ向う距離の合計は南北の辺の長さに一致するはずです。
ところが、一つ目の角では南、二つ目では西というように交互に曲がると決め、さらに無限に碁盤の目を細かくしていった時、この段々が消える一瞬、それは北東角から南西角へ引かれた一本の斜辺対角線*1となり
進行する距離 = 東西の辺の長さ + 南北の辺の長さ
だったはずのものが
進行する距離 = 斜辺の長さ < 東西の辺の長さ + 南北の辺の長さ
というように明らかに質的に変容してしまうのです…
面白いといえば面白い、でもとても以前から気にかかる問題です。
(※これを書くきっかけは、finalventさんの日記のコメント欄での(改名された)ある方の疑問を見てのことでした。ただしそこでの謎に直接お答えできたわけではありません。また自分と異なる問題の把握の仕方があるものだなと面白く思えたのでしたが。私にとってはこの「無限になめらかになる段々」→変容 という話が気になる問題ということです)
*1:ここは対角線という表現のほうが適切ですね。頭の中には「三角形の二辺の長さの和は他の一辺よりも常に大きい」というものがあって、思わず斜辺と書いてしまったのでした。 他の二辺の長さの和でしかなかった段々の長さが、無限に細かくなることである瞬間それよりも短くなる…という考えが驚きなのです