チベット問題についての日本の仏教界の反応

財団法人全日本仏教会による声明

チベット情勢についての声明


 日本の伝統仏教界唯一の連合体である財団法人全日本仏教会および世界仏教徒連盟日本センターを代表し、現今のチベット情勢について、以下の通り表明いたします。
 全日本仏教会は世界仏教徒連盟の唯一の日本センターとして、世界仏教徒連盟に加盟する各センターとは、その所属する国家・地域の政治形態の如何に関わりなく、同じ仏・法・僧の帰依三宝の立場から対等な関係を築いてきました。その立場は今後も変わることはありません。
 ラサ市チベット仏教の聖地です。今回、そのラサ市をはじめ中国各地において僧侶・市民と治安部隊の衝突により多くの死傷者が出ている深刻な事態に対し、私たち日本の仏教徒は深く憂慮しています。関係者に対しては、暴力に訴えることなく、対話による問題解決の可能性を模索するよう強く求めます。
 なお、私たち日本の仏教徒は今後ともチベット情勢の推移を注視してまいります。


合 掌

二〇〇八年三月十七日
財団法人全日本仏教会
理事長 安原 晃

 財団法人 全日本仏教会とは(同法人のサイトより)

 現在、日本には約75,000の伝統仏教の寺院・教会・布教所等があり、それらの多くは、いずれかの宗派(教団)に所属しています。財団法人全日本仏教会は、その中の主要な58宗派を中心に、都道府県仏教会・各種仏教系団体等も加盟した、我が国の伝統仏教界における唯一の連合体です。

現在、本会に加盟している102の宗派・団体に所属する寺院は、全国寺院数の9割を超えています。

本会は1900(明治33)年、国家の宗教統制に反対して結成された「仏教懇話会」に淵源を持ち、「大日本仏教会」「日本仏教連合会」等を経て、1957(昭和32)年、財団法人全日本仏教会となり、今日に至っています。
(後略)

 id:antonianさんのところなどいくつかのところで「天台宗トップの住職がチベット問題について涙ながらに語る」という動画の紹介があったので拝見しました。(※すでに削除要請が来たらしく視聴不可です)
 他に仏教界から何か反応がないかと思っていたところ、上記のような声明がありました*1。様々な利害の絡んだ大きな組織のようですのでこれ以上突っ込めないのでしょうが、きちんとした意見表明であるとは感じます。


 中国をマントを着た旅人に譬えると、この旅人は北風が吹いても「自分は苛められている」と感じてマントを離さず、また太陽が照っても「思った通りだ」とマントを離さないという一筋縄ではいかない性質を持っているものと思います。少々の居心地の悪さなど意に介さない強靭な旅人といったところでしょうか。
 単純に批難をぶつけるだけとか、逆に意を汲むだけとか、どちらにせよ外からの働きかけに易々と応じてくれるとは思えません。
 だからこそこういう者に対処しなければならない周囲は、まず自分はどうするのか、どう思うのかというところを固めて、過剰に相手の動向に応じようとするのではなく根気を以って信ずるところを行なうのが大事だと思います。


(参考:聖火リレーで燃え上がる愛国心…ネットでも炎上中

*1:ただ単にいままで私が気付かなかっただけなのですが