28万円のスイート?

 本当だかどうだか直接ニュースに触れていないのでわからないのですが、ダライ・ラマ14世が渡米の際に中継地として来日した際に「1泊28万円のスイートルーム」に滞在してどうのこうのという話題を結構耳にします。
 少なくとも彼は今回4月の10日朝に成田に到着しておよそ10時間後に渡米していっていますから、スイートルームに泊まることはなかったわけです。来日というより一時入国というぐらいでしたし。ですから「28万円」は当然払っていないでしょうし、逆に安心や安全が保証されるならその半額でも安いものかもしれません。
 さらに言えば、私はダライ・ラマ14世が自分で滞在するホテルの部屋を予約するなんてことは毛頭思いませんし、周囲が配慮して安全で快適なところを用意したとして何が問題なのかわからないです。


 もしかしたらと思うのは、せいぜいが宗教者のくせに贅沢してるとかいう反宣伝みたいなものです。でも本気でそんなことで他の人の妬みを喚起できるだろうとしてやっているならばあまりにも情けない話です。
 まさか彼が亡命政府の元首という立場も持っていること(そしてその亡命政府は某大国?に徹底的に敵視されていること)を忘れているわけでもないでしょうに。


 ダライ・ラマはただ用意されたところに素直にいるだけで、これがもしもっと貧相で汚いところに滞在することになったとしても不満は言わないのではないでしょうか。ダライ・ラマ14世はそういうところでポーズを取る必要が最初からない人なんですよ、きっと。生まれながらのダライ・ラマというのはそういうことだと思います。


 悟りとはどういうことかと問われた若き日の蛍山紹瑾*1

 茶に逢ふては茶を喫し 飯に逢ふては飯を喫す
(お茶があればそのお茶を飲み 御飯があればその御飯を食べる)

 と答えたそうです。
 むしろ「質素なところにしてくれ」と拘らないあたりが僧としては本当なのかもしれません。

*1:禅僧。曹洞宗総持寺開山。