うちの犬に○○コロされかけた話

 うちの犬が死んで2年、まあ体の一部をひとにぺたっとつけるのが好きな子で、寝ていると必ず布団の上(とか脇)に乗ってきていました。寝る前に追い払っても必ず後で寄り添ってきます。それで安心するのでしょうが夏なんかはもう最悪。毛むくじゃらで体温高いのがべたっと引っ付いているのですから、しばしばうなされました。(あとノミ対策は真剣にやらざるを得ませんでしたし)


 30を過ぎてから何故だか盲腸炎と診断され、私が生まれてはじめての入院と生まれてはじめての手術をする時、とりあえず犬の面倒は傍に住んでいる知人に頼めたのですがさすがに夜も一緒に寝てくれとまでは頼めず、心細くしているだろうかと入院中はずっと気になっていました。あと、夕食時などには適当におやつをあげながらお酒の相手をさせていましたがそれもお願いはできません。そちらはいいダイエットになるぐらいに思っていましたけど。


 10日ばかりの後やっと退院できて家へ。まだトイレへいくのもちょっと苦労するぐらいで、寝たり起きたりが負担でしたので退院の少し前に部屋にパイプベッドを入れてもらっていました。ただいまというと犬も喜んでいる様子。そうかそうか嬉しいか、と頭を撫でて自分はベッドへ。散歩とかはまだ人に頼んだほうがいいかもと思いながらとりあえず(日は高かったのですが)疲れて眠りました。


 そして…なんだか妙な気配がして目を覚ますと、うちの犬がベッドに這い上がろうとしています。足元のほうからにじりっと寄って来るその姿はどうみてもみっともないもの。おやつとかあげすぎででぶ犬になっていた上にもとから足が短いもので、それはもう笑わざるを得ないような格好でした。
 どうも「おやつ」がもらえないのに不満を抱いていたらしく、しかもやっと帰ってきたと喜んだのも束の間、なにもくれないうちに近寄れないベッドの上で私は眠ってしまい、しばらくどうしようかと考えた末にベッドに登ることを決意したらしいのです。 何度かずり落ちながらもなんとか這い上がり、そしてわんこはじりじり私の上に近づいてきます。


 私はもう大笑いで、でも笑うと傷口が痛むので涙を流しながら泣き笑い。でもこのまま上に乗られると傷口が開いて死ぬかもしれないとどこかで思う一方、どうしても笑いを止めることができず、本当にあの時は「笑いコロされる」と思いました。
 結局死なずにすんだのですけど。


 当時の写真です。もう傷は癒えてきた頃、犬はベッドに這い上がることに習熟していました。



 亡くなる一年ぐらい前から布団の上でも粗相をよくするようになっていました。こちらはもう観念して、介護用のお漏らししても下に沁みこまない「洗える敷布」を用意して、そして粗相しても怒らずに一緒に寝てあげるようにしていました。もちろんベッドではなく布団で。
 そろそろ暑い時期がやってきます。一人で寝るのは快適なのですが、どうにも「誰かに体の一部をぺたっとくっつけて寝る」ことに慣らされてしまったらしく、もう二年も経つのですが未だにどこか寂しいのです。
 今日はあの子の誕生日にあたる日です。たまには思い出を書いておこうという気になったのでした。