虐殺する者というラベルの政治的利用

スーパー・ホエール − 環境保護運動における作り話とシンボルの利用

 捕鯨者を悪魔呼ばわりするのは学術誌にすら見られる。「The American Journal of lnternational Law」誌においては、2人の法律家が「鯨を殺すのを認める心情というのは、劣等な人々を虐殺するのを認めるのに等しい」と書いた。さらに、鯨肉を食べるのは事実上は食人行為の一種ということになる。タブロイド紙のデイリー・スターは1991年5月11日付けの2ページにわたる記事において、「貪欲なジャップが、血の宴会における病的なごちそうで、山盛りの鯨肉をむさぼり食う」と報じている。
 (下線は引用者)

 興味深い話を見つけることができましたので、備忘として。


 ついでに、昔引いたこの一節も…

 今日イギリスではコールド・ビーフが、アメリカ合州国ではビーフ・ステーキが国民食として愛好されているが、これも雄々しいオウシを食べると立派な紳士ができるという体液生理説―古代の一種の共感呪術の名残り―からきたものにほかならない。

 (山内昶『「食」の歴史人類学 比較文化論の地平』人文書院、1994)