らうめん
日清が出していた袋めんの「らうめん」はまだ作られているのでしょうか? 最近、私がいくあたりのスーパーでは見かけなくなっています。あっさりしたしょうゆ味でカロリーも低めなので、以前は時々買って忙しい時の朝食に食べていたりしました。嫌いじゃないです。
でもですよこの擬古調のネーミング、古語として捉えると「ローメン」としか読めないのにお気づきの方も少なからずいらっしゃったと思います。
もしこれが「ラーメン」と読めるなら…
らうし【老子】は「ラーシ」
らうか【廊下】は「ラーカ」
らうにん【浪人】は「ラーニン」*1
らうぜき【狼藉】は「ラーゼキ」
といった具合に大変なことになってしまいますしね。
知っている(読める)人には何でもないことで、古語文法とかじゃなく感覚で読めているはずのものも、馴染みのない人にとっては案外盲点だったりするもの。特に古語の「読み」は授業でおろそかにされがちですから、読めたり読めなかったりという人が意外に多いのかもしれません。
ということで、思いつきでちょっと講釈を*2。
まず、なぜ「らうめん」が「ローメン」となるかなのですが、古語では母音がu音と重なって二重母音になった時に発音が規則的に変化します。
a + u (au)⇒ ō i + u (iu)⇒ yū (u + u (u)⇒ 変化なし) e + u (eu)⇒ yō o + u (ou)⇒ ō
ですから「らうめん」は「r au men ⇒ r ō men」で「ローメン」と読まれるのです。
(例)
かうだう(革堂) ⇒ 「kaudau ⇒ kōdō」 ⇒ コードー
きうり (胡瓜) ⇒ 「kiuri ⇒ kyūri」 ⇒ キューリ
てうど (調度) ⇒ 「teudo ⇒ tyōdo」 ⇒ チョード
古語では、語頭以外の「は・ひ・ふ・へ・ほ」が「ワ・イ・ウ・エ・オ」と読まれるということはよく知られていると思います*3。
(例)
かは(川) ⇒ カワ
くひ(杭) ⇒ クイ
まへ(前) ⇒ マエ
しほ(塩) ⇒ シオ
この二つの規則をあわせるだけで、おおよその古語の読み方がぐっとわかってくるはずです。
(例)
けふ(今日) ⇒ ケウ ⇒ 「keu ⇒ kyō」 ⇒ キョー
おとなふ(訪なふ) ⇒ オトナウ ⇒ 「otonau ⇒ otonō」 ⇒ オトノー
あの謎のような「てふてふ」だって
てふてふ ⇒ テウテウ ⇒ 「teuteu ⇒ tyōtyō」 ⇒ チョーチョー(蝶蝶)
というように…
知ってる(読める)方でも案外自然に読めるようになってしまっていて、規則性は意識されないものと思います。今朝妹と電話で話していて、ふと知らないでいる人も多いのかもと書く気になりました。