ちょっと思い出した話

 十年近く前の話。知り合いの(先輩筋の)ある人が院卒からしばらく経って某地方女子大に就職。何にせよアカポス得られたのはめでたいと周囲は見ていたのですが、三年後ぐらいに退職して実家に帰ってきているとの情報。
 いったい何があったのか下々ではよくわからなかったのですが、セクハラで辞めさせられたという口さがない噂も立ちはじめました。ちょっとセクハラするタイプとは見えなかったもので(もっと線が細いといいますか、思い詰めてストーカーならありそうでも権柄ずくで何かやるようには見えない感じで…失礼ながら)、いったい何があったのか個人的には謎でした。
 一年以上経って本人から直接聞いたという話を伺ったのですが(これもまた伝聞ではあります)、その私大の上の方から、次の年の受験生を増やすために地元の高校回りをせよ(>営業活動)という指示を「これは大学の教員がやる仕事ではありません」と拒否して無視。そのままことが収まらず理事会などで問題化。冬休みぐらいからいったん新学期まで自宅待機に。そして再度話し合いの末、やはり高校回りはできないということで辞職願いを書いた(書かされた)というのです。


 いやもったいない話なんじゃ…という感想がほとんどでしたし、その方が他で常勤を得たとかいう話はその後聞いておりません。実家に帰れば何か仕事があったものでしょうか。また、直接のきっかけはそういうことでも、裏に他の事情などもあったのかもしれません。
 プライドはわからないでもないけれど、そういう時代ではないだろうというのが当時の周辺のおおかたの見方でした。でも今となってはあの人の気持ちを「わからないでもない」と評した意見すら、むしろ隔世の感があるという雰囲気かもしれません。
 地方私大に就職して、半分は事務方の仕事をさせられていますよと言った後輩の話も聞いたことがあります。また国公立の院から大手でない私大に行った人には、個室をもらえるどころか机(居場所)を確保できればよい…というのも驚きであるようです。


 高校訪問は、大学教員にとって「残酷」な仕事?早稲田塾)という記事を見てそんなことを思い出しました。