初の「黒人」大統領とか言うな!

 と、思うんです。歴史・文化の違う他国の私たちが。
 オバマ次期大統領のお父さんはケニアの黒人、でもお母さんはアメリカの白人なわけです。だからバラク君はハーフでしょ? それが日本あたりに生まれ育った私の世代の感覚としたら普通だと考えるんですけどね。白人っていうのもおかしいけど黒人っていうのも違うんじゃないかと。


 オバマ氏が「黒人」大統領とされるのは、「白人」じゃないからです。二分の一でも四分の一でも八分の一でもカラードの血筋が混じっていれば「白人」ではない、ってこれ明白なレイシズムじゃないですか。ここでwhiteとblackは全然対称じゃないですよ。
 2001年のアカデミー賞ハル・ベリーが主演女優賞を取ったとき、彼女もお父さんが黒人でお母さんが白人という生まれだったのにも拘わらず「初の黒人の受賞」と騒がれたものでした。あれもこちらでそんなこと言うなと思いましたよ。*1


 あちらでは長いレイシスティックな歴史があって、それこそ白人が主役でカラードが不遇という時代が長くありました。だからこそ主演女優賞や大統領に「非白人」がなったという驚きや象徴的な意味があって、そこのところを強調したくなるのもわかります。オバマ氏側の選対がそのニュアンスを利用しなかったわけはないとも思います。
 でも「白人」に対する非白人という意味での「黒人」呼ばわりを、日本のメディアがこぞってはやし立てるのはどうなんでしょう。それは無自覚にアメリカ風のレイシャルな考え方の枠組みを直輸入してしまっているという感じなのではないでしょうか?


 リベラルのアメリカもコンサバティブのアメリカもない。白人のアメリカも黒人のアメリカもラテン系のアメリカもアジア系のアメリカもない。アメリ合衆国があるだけだ。という演説で有名になったオバマ氏を、他国の私たちが黒人、黒人言うのはおかしい、とそれだけ凄く言いたいと思ったのでした。

*1:あの時「アフリカ系の」という言われ方もしました。確かにそれならば矛盾はないのですが、あれは一種のギマンではないかという感じも持ちました。言いたいことは「黒人」っていうことなんじゃないの?みたいな。