安彦良和さんのこと

 昨日、知り合いの先生のお宅(先日猫のハナちゃんがいなくなった)を訪問したのですが、そこで奇縁といった感じのお話を伺いました。
 先生は土曜日にNHKBSの『日めくりタイムトラベル』をご覧になったそうです。特集は昭和54年。そこで先生は「ガン何とかが放送された話」を見たのだそうですが、番組中「安彦良和」なる名前が聞こえてきて、
「あの男は知ってる」
 という話になったのでした。
 もちろん昭和54年、1979年あたりの「ガン何とか」は「機動戦士ガンダム」だと勘づきました。安彦さんの名前も出てきて間違いありません。
 いったいどういう知り合いなのかと思いましたら、
「留置場におにぎりを差し入れにいった」
 というちょっとあり得ない話…。


 「あの男」呼ばわりの安彦良和さんは60年代の終わり頃弘前大学に在学して学生運動で名を馳せていたそうで、その時先生は若い教員として弘大にいたとのこと。
 何かの事件で安彦さんが警察に拘置され(公安関係じゃなく2課の絡みだった、と話されましたが、別件逮捕か何かだったらしいです)、そこに大学側からおにぎりを持って行って差し入れたという話なのです。大学が公式に動いたのではなく、教員の有志の何人かが可哀想だということで差し入れを考えつき、講師か何かだった先生が運ぶお役になったということでした。
 警察に行くと、
「先生悪いね、これも仕事だから」
 というように刑事が言って、おにぎりを割って中を調べられたのが強い印象で残っているとのこと。
「安彦は結局大学を辞めさせられてね」
 と先生。
「辞めさせられるということでまた大騒動を起こしていったよ」
 などと話されていました。


 先生は学生運動に同情的だったのですかと聞くと、
「ああいう連中は嫌いだった」
 とにべもないのですが、実は当時弘前で先生が大量の下血をして緊急入院したことがあって、その時に学生運動をやっていたような弘大生たちと看護学校の寮の学生たちがたくさん駆けつけて献血してくれたことがあったそうで(それで命をつないだと)、そういう義理もあるからしてやれることは何でもしてやりたいと思っていたということでした。


「マンガがうまいということで有名だった」
 その安彦さんですが、大学を辞めさせられてから「虫プロ」に入ったことは噂で聞いていたそうです。
「活躍してるんだねえ」
 と先生。安彦さんは今関西のほうで大学の先生もしていらっしゃってというと、いつの間にか同じような立場になっていることに感慨が深げでした。


 ※一応後で確認 ⇒ Wikipedia安彦良和
 (弘前大にいたその安彦さんで間違いないようです)