あるミステリ

 時折脳裏に浮かぶあるミステリらしいテレビ番組があります。かなり幼少の頃の思い出だというのは、その番組がモノクロであることからわかります。(うちのテレビがカラー化したのは1970年前後でした)


 憶えている最初のシーンは、主人公となる警察官(警部とかいった階級)が定年退官を迎え、勲章だか金時計だかを皆の前で受け取る場面です。この退職警官の人が探偵となって事件を解決する筋が話のメイン。
 主人公は退職して暇ができたので旅行に出ます。その旅先、とある田舎の宿に泊まった晩に少年がすすり泣く声を聞きます。
 「痛いよ。…苦しいよ」
 といった声も毎晩聞こえてきて、主人公は気になって調査を始めます。
 結局、そこでかつて理不尽に殺された少年がいたことを突き止め、事件は解決します。細かいことは本当に頭から抜けているのですが、その最初の少年の声は何だったのかということだけははっきり憶えています。
 オカルトではありませんでした*1


 何となくどこかの海外ミステリの翻案ものかなという印象もあります。主人公の設定が当時の日本らしくないと(後になってですが)思えた所為かもしれません。先日『魍魎の匣』のアニメ版を見ていて久しぶりに思い出しました。こういう古い雰囲気の映像を見たときに(そしてそれが上手な描き方であれば)何となく思い出される具合なのですが、いまだに何という作品かはわからないでいます。おそらくNHKです。

*1:それは、その宿の女中さんが(奥さんと一緒に図って?)かつて起きて未解決になっている事件に名高い退職警官の主人公の注意を喚起するために声のお芝居をしたものだったのです<なぜかこれだけははっきり記憶しています。