舎利禮文

 舎利禮文とはお経です。お盆やお彼岸の墓前法要などでもよくあげられているもので、仏舎利(お釈迦さまの聖なる遺骨)に礼拝し釈尊の徳を讃え衆生の救いを祈る内容を持っています。漢訳*172文字と短いもので、以前からお経として以外に「芸能」に借用(歌われたり踊られたり)されることが妙に多いものでした。私も実は大学の時にサークル活動*2で歌い踊ったりもした経験があります。


 で、これを用いた大傑作。舎利禮文がニコ動でありました。

 お経にしてお経に非ず。ポップにしてポップに非ず。
 音楽にして楽曲に留まること無く、映像にして文字の妙有り。
 という感じでしょうか。


 祖父の形見分けみたいにしていただいた『増補新版 曹洞宗日課諷經集』*3から引用しますと、

 ○舎利禮文
 一心頂禮。萬徳圓滿。釋迦如來眞身舎利。本地法心。法界塔婆。我等禮敬。爲我現身。入我我入佛加持故。我證菩提。以佛神力利益衆生。發菩提心。修菩薩行同入圓寂平等大智。今将頂禮。

いつしんちやうらい。まんどくゑんまん。しやかによらいしんじんしやり。ほんぢほつしん。ほうかいたうば。がとうらいきやう。いわげんしん。にうががにうぶつがぢこ。がしようぼだい。いぶつしんりきりやくしゆじやう。はつぼだいしん。しゆぼさつぎやうどうにうゑんじやくびやうどうたいち。こんしやうてうらい。(ママ)

 あえて拙訳をつけてみます。

 一心に頂礼(五体投地)申し上げます
 あらゆる徳を備えた
 釈迦如来のまことの舎利(遺骨)は
 本来不滅の法(ダルマ)を表し
 世界のすべてをみそなわす塔婆(ストゥーパ)にあります
 我らは礼敬いたします
 我がうつし身を以て
 仏の力により仏が我に入り我が仏に入って
 仏の悟りの知恵を証します
 仏の神力によって衆生が利益されますように
 (衆生が)菩提心を発こして
 菩薩行を修し 修行の完成に至り
 平等の大智にあずかれますよう
 今まさに頂礼申し上げます

 先の作品は「舎利礼文」以外の部分の発想もとても飛んでいて自分好みですし、時間があれば一見の価値有りと思いました。

*1:不空訳とも、不空の創作とも言われているようです。

*2:山城組

*3:編集者は「京都市室町通寺ノ内上ル無學寺住職 諏訪晩成」発行所は「各種御經版元 京都市高倉松原北入 平井文永堂經房」初版は大正四年八月十五日で、これは昭和四年五月十一日の十一版でした。