ある神父の秘密

 今日金曜の午後9:10から、NHKBS1世界のドキュメンタリーである神父の話が放送されます。

庶民的で献身的、カトリックの禁欲主義に従ったクラリー神父。ローマ法王アイルランドを訪問した際には出迎え役を務めるほど、アイルランド カトリック教会でのクラリー神父の地位は高かった。


そのイメージは、死の直後、劇的に崩れ落ちる。妻帯が禁じられているにも関わらず、クラリー神父にはある女性との間に生まれた息子がおり、しかもその女性は、多くの人が住み込みの家政婦だと信じていた人物だったことが報道され、アイルランド中に衝撃が走った。


制作した女性監督は、スキャンダルが明るみになる前、クラリー神父のドキュメンタリーを制作するために何も知らずにその私生活を撮影していた。映像には息子と、その母である女性も記録されている。女性監督は、社会的影響の大きさから、撮影したフイルムを封印。
そして15年後、神父の息子のその後が気がかりでならなかった彼女は再会を試みる。成長した息子から知らされたのは母親がガンですでに世を去ったことだった。
(中略)
そして、女性監督は最後に問いかける。「なぜ、神父は愛を貫くことが出来なかったのか…」と。<イタリア賞 テレビドキュメンタリー部門 最優秀賞 受賞作品>
原題: The Father, the Son & the Housekeeper
制作: Tern/RTE/ BBC(アイルランド/イギリス) 2007年
なぜ愛を貫けなかったのか 〜アイルランド ある神父の私生活〜

 原題の「父と、子と、ハウスキーパーと」というのはあまりに皮肉が効きすぎているかもしれません。
 アイルランドで高名だった彼、Father Michael Clearyは歌う司祭として知られた人で、二枚のアルバムが彼の名で出されていて、自分のトーク番組を持っていた方だそうです。その彼が1993年に亡くなってすぐ現れたスキャンダルが、この妻帯して男の子を持っていたという事実でした。
(上記記述の教皇アイルランド訪問は1979年の9月末のことで、前教皇ヨハネ・パウロ2世が選出されてまだ1年にならない頃、ごく初期の海外司牧訪問でのエピソードです。)


 これがどうスキャンダラスであったのか、僧侶が妻帯して子供を持っていても不自然に思わない今の日本の私たちには実感が薄いことかもしれません。司祭が性的スキャンダルを起こすとはどういうことなのか。番組を見て、そこらへんが感じられればいいなと思います。(ちょうどセクハラで逮捕された日本の神父さんの話題が聞こえてきている時でもありますし…)