卒業証書をあげない、は象徴的なもの

 島根の公立高校で「授業料を滞納している生徒には卒業証書を渡さない」(⇒記事)としていたニュースが話題になった頃から、賛否を含めてあちこちで議論になっていたのですが、今度は山梨でも「授業料滞納の生徒から卒業証書回収」(⇒記事)というニュースが。
 でもいろいろニュースを比較して読むうちに、どうもこれは「卒業させない」ということではなくて「卒業証書をあげない」という象徴的なペナルティとして行われたものだったらしいことに気付きました。
 ⇒卒業証書を高校が回収、授業料滞納の生徒から別室で…山梨

 山梨県立増穂商業高校(増穂町最勝寺)で、授業料を滞納していた昨年の卒業生と今春卒業の計2人に対し、いったん渡した卒業証書を預かる措置を取っていたことが分かった。


 同校によると、1日の卒業式当日、出席した生徒には卒業証書を一度手渡し、その後、別室で預かった。事前に保護者を交えて措置の趣旨を説明、本人や保護者の了承を得たという。卒業そのものには影響がない。昨年の卒業生については、同様に学校側が卒業証書を預かり、昨年5月に完納した後に戻した。今年の卒業生にも完納後に手渡すとしている。
(中略)
 県立高校の年間授業料は1、2年生は11万8800円、3年生は11万5200円。授業料の滞納額は増加傾向にあり、県教委は今年度から対策要綱を運用し、解消に取り組んでいる。要綱には、滞納している家庭に対し「電話督促」「納入計画書の提出」などを段階的に行うことや、最終的には法的措置を取ることが盛り込まれている。
(3月8日9時9分配信 読売新聞 強調は引用者)

 もしかしたら、ということは頭にありました。ちょうど同じ頃話題になった「福岡県立大 本返却しない学生の卒業証書保留」(⇒記事)のケースで、「卒業自体は取り消されないが、心理的効果は大きいとみられ」という一節があったのもその理由の一つです。(自分も卒業式には出ず、学位記は後から事務に取りにいった口でしたし、なんとなくそんな気が…)


 親の授業料滞納が未成年の子らに直接の被害として影響を与えるのは駄目!という感じで議論されていた方々は、これでいくらか論旨は変わられるでしょうか? 
 確かに島根のように「卒業式で証書を授与してもらえない」という悪目立ちを実害と感じる方はおられるかもしれませんが、山梨のようにそちらは何事もなく授与しておいて、後で別室で「でもこれは未納のうちはお渡しできませんよ」と回収するなら、それはより配慮されたやり方ではないかと思います。(に対する教育的?配慮のような気も…)


 いくつかのサイトでの議論で「生徒の不利益」に焦点があてられていたように思いますが、島根のはやや行き過ぎがあったとしても、結局卒業はさせるということだと知ってからのご意見はどうなのか聞いてみたい気もしています。