授業料未納で卒業証書回収

 島根()や山梨()に続いて一旦話題になるとどんどんでるわでるわ…。
 ⇒佐賀の4高校でも卒業証書回収 授業料滞納で

 佐賀県の県立高校2校と私立高校2校が今春、授業料を滞納している卒業生計7人に対し、卒業証書を回収したり渡さなかったりしたことが11日、分かった。

 ⇒授業料滞納で卒業証書回収 山口の私立7高校

 山口県の私立7高校が、授業料を滞納している卒業生13人について卒業証書を回収したり、渡さなかったりしていたことが10日、県議会の総務企画委員会で明らかになった。

 県によると、7校のうち4校では、10人に証書をいったん渡したが、その日のうちに回収。別の2校では、滞納者2人のうち1人について卒業式への出席を認めず、もう1人は出席は認めたが証書を渡さなかった。
 残りの1校では印を押していない証書を授与。生徒側には納入があれば印入りの証書をあらためて渡すと伝えたという。


 こんな書籍の一節がありました。

 その前年の卒業式も間近なあるとき、金ちゃんは校長に呼ばれた。金ちゃんのクラスの生徒が、数ヶ月分の授業料と諸納金が滞納となっているので、卒業式当日までに全納させなければ卒業証書を出さないと宣告されたのである。慌てた金ちゃんは早速母親に連絡した。が遂に卒業式前日になっても納入されなかった。再び金ちゃんは校長に呼ばれ、予想通り卒業させられないと言われた。式終了後にそっと回収するので、せめて卒業式では本人に卒業証書を渡して欲しいと金ちゃんは校長にお願いした。
 式の当日朝、父親が学校を訪れ金ちゃんに深々と頭を下げて事情を説明してくれた。父親は滞納のことを全く知らなかったと言うのである。どうやら母親が授業料と諸納金をパチンコにつぎ込んでしまい、そのことを夫に言いそびれて今日を迎えたらしかった。そして本人が職場に旅立つまでには全納入すると言ってまた何度も頭を下げると、式には参列せずに父親はそのまま帰っていった。式は滞りなく終了し、金ちゃんはクラスで生徒にお別れの挨拶をした。そしてその子にそっと目で合図を送って教室をあとにした。ほとんどの卒業生が校門を出たころ、その子が職員室にいる金ちゃんの席に来て、黙って卒業証書を差し出した。金ちゃんは辛うじて「暫く預かるから」と言ってそれを受け取った。
 やがて数日経ってその子は父親とともに職員玄関に来た。金ちゃんは中に入るように促したが入らず、その場でお金の入った封筒を金ちゃんに差し出した。金ちゃんは金額を確認すると改めて卒業証書を本人に手渡した。そして本人の手をしっかり握った。しかし言葉が詰まって出て来なかった。その分握った手に力が入ったので本人の顔が少し歪んだ。それに気がついた金ちゃんは慌てて力を緩め、辛うじて「頑張れよ」と声を掛けた。するとその子は僅かに微笑みながら頭を下げ、父親と共に校門を出ていったのであった。
(小野寺金雄『毛越寺は吾が庭』pp.183-184)

 これは高校の先生が綴った回想エッセイとして、2005年に文芸社から発行された書籍です。(小野寺氏は2006年の春に退職されたとのこと)
 すでに何年も前から、卒業証書の回収というものがあったことが窺われます。(しかもこれは岩手でしょうか、上記ニュースには出てきていない地方の話ですね)


 あまりに諸方でこの方法が採られているのを目にすると、何かどこかの高校をモデルにして全国に広まった手法なのかなと思えてきます。で、型にはまったやり方だとすると、どれだけそれぞれの高校が真剣に対応していたのか、そこら辺が疑われてくるような気もするのです。(宗旨替えとまでは結論を出せませんが…)