乱用薬物
昨日聴いてきた講演では、乱用薬物、その中でも密造薬物とされる大麻や覚醒剤の話が中心でした。
非常に面白かったのは、たとえば大麻が人間に作用するのが人間の側にその成分の受容体があることに起因するなどという話です。
麻の中に含まれるカンナビノイドの一種、テトラヒドロカンナビノールが人間の側のカンナビノイド受容体に結合することで薬理作用(陶酔など)が生まれるということで、しかもその受容体に嵌ってしまうのは全くの偶然であった…なんていうのは専門の方には知られたことなのでしょうが、私はそういうことなのかと驚いた次第です。
モルヒネの作用もまた脳内麻薬と同じ受容体に(たまたま)嵌ることで生じるとか、アンフェタミンなどの覚醒剤が大量のアドレナリンを出させたりするとか、もともと人間に備わった内因性の物質の作用機序を乗っ取る形でこうした薬物が効いて(効き過ぎて)しまうんだということにはまあびっくり。
本来の人間の代謝の中ではきわめて短い作用時間だったりするものが、人為的・持続的に得られることでやめられない危険なものになってしまう…というのは、それこそ何だか「人間の宿業」のアナロジーに思えてしまったりして。
内因性カンナビノイド、人間の身体でもともと作られるその物質の一つに「アナンダマイド」の名が冠せられているということなんかもその連想につながったように思えます。すなわちサンスクリットの「アーナンダ」+「アミド」(脂肪酸を示す)でしたから。
陥りがちなところに陥る。というのは人の宿命でしょうか。
だからこそ意識的に防御が必要だということなんでしょうけれども。