三日見ぬ間の…

 世の中は 三日見ぬ間の桜かな

 今頃気付いたのですが、今年の前半は去年の1.5倍増し(つまり前年比2.5倍)の仕事を抱えていましたので、日常が妙に慌ただしく暇がない日々を送ることになってしまっていました。あと、これは例年の行事ですが明日からは泊まりがけで新人研修につきあうことになっています。風のように親が来て去った後、気付いたらすっかり桜も葉桜になっていて、今年はゆっくり桜を愛でることもなかったなあと他人事のように思えた今日の午後。
 ぼちぼちブクマはしているのですが、膨らませて何か書けそうな話題も右から左へ通り過ぎるに任せるように何も書いてませんね。


 ひとつこれは書かねばと思っているのが、William R. LaFleur, LIQUID LIFE Abortion and Buddhism in Japan, Princeton Univ.Press, 1992.(⇒Amazon)の(書評というより)紹介。「水子*1」を歴史・社会状況や仏教との関わりで捉えようとした意欲的な研究書です。最初に読んだのが出版の翌年か次の年ぐらいで、15年以上も昔のこの本を引っ張り出して精読しようとしたあたりから時間の余裕が無くなってきたという次第。
 これは宗教学的な本というより(もちろんそうでもありますが)「日本論」として書かれたものだという感想を当時から持っています。エキゾチックな「東洋」だの「仏教」だのという捉え方では見過ごされがちな日本(文化)の、しかもまさに同時代的な水子供養・人工妊娠中絶というあたりの問題に真正面から取り組んだ意欲的な本で、一部院生の間でかなり話題になっていたものです。
 少しずつでも紹介していきたいとは考えていますが、今の調子なら連休に入るまではちゃんと時間が取れそうにないなあという感じです。

PART ONE: ORIGINAL CONCEPTS
Chapter 1
Behind the Great Buddha
Chapter 2
A World of Water and Words
Chapter 3
Social Death and Social Birth
Chapter 4
Jizo at the Crossroads

PART TWO: HISTORICAL PROCESSES
Chapter 5
Edo: An Era in View
Chapter 6
Edo: Population
Chapter 7
Edo: Polemics
Chapter 8
Sex, War, and Peace

PART THREE: CONTEMPORARY ISSUES
Chapter 9
Apology
Chapter 10
Moral Swamps
Chapter 11
A Rational, National Family
Chapter 12
Crossovers

Conclusion

*1:この書で水子が"Liquid Life"と訳されてから、これが定番の訳になっているようです。