地方は怖い、話

 今日は冷たい雨の中半日ほど出かけなければならなかったのですが、行った先でとある話を耳にしました。
 先日の某市長選挙。関東の某地方で行われたその選挙については、現職が自民・公明の与党の推薦を得ていたのに負けた、として全国ニュースでもちょっとだけ取り上げられていたのでしたが、それに絡んで当選した新市長についてとんでもない噂が流れていたようなのです。


 話の脈絡は、最近の世情がかつてとはとんでもなく変わってきている…という、まあ年配が集まればよくありそうな話だったのですが、「他人は他人と気にしない人が増えてきた」という話題の一例としてその新市長の当選が挙げられたのでした。
 その人のお父さんはかつて三人組だったかで強盗をして捕まり刑務所に入った人だったのに、というのが口火の話。田舎ではこうしたスキャンダルがあったら当選なんて…という感じでしたが、私はむしろ父親の罪はどうあれ(まして服役して罪を償った形ですし)子供が功成ったのなら美談じゃないかと思えました。親の非行をどうこう言って子供に不利益になるのは酷い話ですし、こういう変わり方は「良い方向」への変化だろうと感じたのです。
 次に出たのは当の新人市長さんが地元でもやんちゃな某高校に行っていて、しかも中退させられたような人間なのに、という話。いや人は変わるものですし、むしろ学歴に頼らずに町議、そして市議になって市長にまでなったのでしたらこれも良い話でしょうと、ジャン・バルジャンが頭に浮かびましたね。ミリエル司祭がどっかにいたんじゃないかと思いました。
 でも話は最近に近付き、そのお父さんという人が(町内会の)区長をやっていて、誰にも口出しさせないワンマンでわがまま放題とかいう話になって、まあこれは息子が影響力のある人間になって増長してしまったとか、見返してやるといった気持ちになったとか、人は弱いものですから、いい話ではないし後々息子さんに仇なさなければいいなあとちょっと気になりました。
 で、最後にまた新市長さんの話になって、地元でお嫁さんをもらっていたと、でもどこぞのコンパニオンのお姉ちゃんに手を出して孕ませて、子連れで家に引き込んで元の嫁さんは出て行って泣き寝入り。何も言ってこないものだから慰謝料の何の全然払っていない…とかいう話に。
 ここらへんでジャン・バルジャンイメージは無くなったのでしたが、話が本当ならちょっと酷い男ではないかと。どこまで本当でどこまで根も葉もない噂なのかと、それが気になり出したのでした。


 ネガキャンか、陰謀で悪い噂が流されたのか、いずれにせよ確かに田舎でこういう話が流されて、それにも拘わらず現職を破って当選したとすれば本当に「世情が変わった」ということだと思いましたが、さてそれにしてもです。
 それにしてもなぜ現職の、しかも与党が推す人物が僅差でも落選ということになったのかです。詳しくは聞けなかったのですが、どうやら老害だ何だと言われていてひどく人望がなかった模様。ほとんどanyone but him、あの人が替わるなら誰だって…に近かったということらしいんですね。


 あそこで出た様々な話の、ことの真偽はわかりません。にしても、おそらく全国ニュースでこの市長選の結果が少し流れたのは、与党候補が負けたといった意味合いで中央が捉えたからだったのでしょうが…。田舎の選挙は複雑怪奇、魑魅魍魎が跋扈していそうな気配で、何か全然自民党がとか民主党がとかいうところと異なった次元で、怪しすぎる雰囲気の中でおどろおどろしいことが起こっているんだなと、それだけは気配を感じました。くわばらくわばら、です。