うどんのこし

 ⇒健太郎、うどんが出来たぞたけくまメモ
 竹熊さんのこの記事、とても面白かったのですがどうにも「こしのあるうどん」に肩入れし過ぎなんじゃないかと読みながら思えてしまいました。うどんは「こし」があるのがうまい、というのは昔はそんなに当たり前のことじゃなかったのでは…と感じているからです。
 しこしこした歯触りの麺を嫌いというわけではありません。それはそれなりに賞味するのですが、たぶん小さい頃の私がそういうのを食べたならば「固いね」という感想が真っ先に浮かんだでしょう。
 いつの頃からか、うどんのおいしさを判断する基準として「こし」が妙に喧伝されるようになってきました。実家のあたりは別にうどん圏ではなかったので、それで知るのが遅れたということでもないと思っています。だってこれまたずっと以前から「伊勢うどん」もあったわけですから。


伊勢うどん(日本語版Wikipedia

 軟らかく煮た極太の緬に、たまり醤油に鰹節やいりこ、昆布等の出汁を加えた、黒く濃厚なつゆ(タレ)を絡めて食べる。徹底的にコシをなくした極太麺と濃厚なタレは、コシの強さとさっぱりしたつゆが持ち味の讃岐うどんと対極にある。具をあまり載せないことも特徴である。麺を茹でる時間が非常に長く、通常のうどんが15分程度であるのに対して1時間弱ほど茹でる。


 江戸時代以前からこの地の農民が食べていた、地味噌のたまりをつけたうどんを、食べやすく改良したものといわれる。 よく誤解されるのはタレの味である。非常に濃いタレの色から醤油辛いと誤解されるが、本来のタレは甘みが強く、塩辛さはなく、濃い目の味ではあるが、後味はまろやかである。この濃いタレの色は、たまり醤油の色と、昆布から出た色である。しかし、店によって味に違いがあり、本来の味とは違う場合も多く、評価が大きく分かれる。特に関西人には敬遠される傾向にあるが、味の良い店での評価は大方が良い。そばつゆと同じものと勘違いされる傾向にあるが別物である。


 長じてのち、学生時代には「こし」のあるうどんが良いとある意味マインドコントロール(笑)されていた私でしたが、お伊勢さんに行った時、こしがどうのこうのじゃないこの「伊勢うどん」も実際おいしくいただけたのです。「こし」をうどんの基準にするのが別に普遍的なものじゃないなあと、その時以来思っています。


 「こし」がどうこう言うのも悪くはないのですが、どうもうどん圏で育った人以外がそれを言うと半可通じみているような感じも今は受けてしまうのでした。(讃岐に行ったときにはうどんをおいしくいただきました。でもそれは別の話)
 特に伊勢付近出身の方が、こしがなくてもうどんはうまいと何故積極的に発言されないのか、今ひとつよくわからないのです。