鉢の木
ある東京の居酒屋、土曜日の深夜のことであった。
ちょっと異様な年齢層やルックスや話し方をする男女七人が内輪でパーティーをしていた。
一人の女子がヨーロッパみやげのデザートワインを開けよう、と言い出した。その子は一時帰国していたが、もう当分の間外国に住むことが決定していて、その日は彼女の送別会もかねていたのだった。
それで、お店の人にこっそりとグラスをわけてくれる? と相談したら、気のいいバイトの女の子がビールグラスを余分に出してくれた。
だがしばし、厨房でバイトの女の子が激しく叱られているのが聞こえてきた。
そして突然店長というどう考えても年下の若者が出てきて、彼らに説教しはじめた。こういうことをしてもらったら困る、ここはお店である、などなど。
しかたなく七人は疲れた足取りで店を出て、どこか飲み直すところはないかと探し始めた。
そのとき雪を打ち払いながらチェーン店の本部の人がやってきたので、店長は今ここにいた七人のことを告げた。本部の人は店長を叱責し、すぐ道に飛び出して行った。
しばらく行くと降り積もる雪の中でたたずんでいる七人に追いついた。
「旅の方、なにもおもてなしできないあばら家でございますが一晩お留めいたしましょう。」
七人は本部の人に伴われて店に帰り着いた。そして彼のはからいでグラスが渡され、デザートワインを楽しむことができたのだった。
その男の人はまた、
「冷え込んで寒さが身にしみますが、あいにくと囲炉裏にくべる薪がありません。しかし、今日はせっかく旅の方が泊まることになったので、盆栽を焚いてせめてものもてなしといたしましょう」
と言って、店に飾ってあった見事な松・梅・桜の鉢植えを手に取った。
「お志は有難いのですが、なんでまた?」と七人は彼を止めようとしたが、彼は耳を貸さず鉢植えの盆栽を3本とも切って囲炉裏にくべてしまった。
そして問わず語りに身の上を話すのであった。
「私は佐野源左衛門常世と申し、もとは佐野とその近郷30余ヶ村の領主でしたが、一族の者どもに所領を奪われ現在では落ちぶれてこのような始末となってしまいました。しかし、このように落ちぶれてはいても私も関東武者の端くれ、具足も刀も馬も手放してはおりません。いざ鎌倉という時には傷ついた具足に身を固め、錆付いた刀を持ち、痩せ馬に打ち跨って真っ先に幕府の大事に駆けつけて敵の大軍に切り込み一番槍の手柄を立てる所存です。」
やがて雪は消え春になってある日のこと、突然鎌倉より関八州の御家人は一族郎党を連れ鎌倉にすぐさま集まるよう御家人召集の沙汰が伝えられた。
佐野源左衛門常世はついに待っていた時が来たと鎌倉に駆けつけた。
そこにいたのはよしも○ばななであった。
「おお、佐野源左衛門か。いつぞやは大雪の日に大層世話になった。儂の本をあげようぞ」
といって、佐野源左衛門はばななの『光のアカシャ・フィールド 超スピリチュアル次元の探求』、『超スピリチュアル次元 ドリームタイムからのさとし』、そして『アカシャ光の叡智 (超知ライブラリー) 』を三本の鉢のかわりにもらったのだった…