被害を主張する人々

 社会ニュース 更新日時 : 2005年05月18日(水)16:19 (朝日新聞)

2005年05月18日(水)

サハリン残留朝鮮人 来日の2世、補償を訴え

 サハリン残留朝鮮人2世で現地の「新高麗新聞」の名誉社長、成点模(スン・チョンモ)さん(74)と妻の金梅子(キム・メージャ)さん(69)が、国際交流団体ピースボートの招きで来日した。「戦後60年たっても私たちがなぜ祖国に帰れないのか。日本政府は責任を認め、謝罪してほしい」と訴えている。

 日本が植民地として支配していた朝鮮から戦前、戦中に徴用などでサハリンに渡った朝鮮人は6万〜8万人。終戦後、日本人は大半が帰国したが、約4万3000人の朝鮮人は引き揚げ枠から外され、日本政府が帰国を支援しだしたのは80年代末になってからだった。

 成さんによると、サハリンにいる韓国・朝鮮人は現在2万6000人余。「1世の大半は亡くなり、3、4世はロシア社会に根を下ろしている。2世が父母の祖国に戻りたいと思っても、それでは子や孫と新たな家族離散になる」と嘆く。

 金さんは「日本が人道国家なら、ロシアの年金では食べていけない私たちの現状も認めて補償すべきではないか」と話している。

 被害者を主張されて日本政府の責任を声高におっしゃる方々、彼らを招いたピースボートの人たち、彼らの言い分をそのまま記事にした朝日新聞の方は、サハリン残留朝鮮人問題をどう捉えていらっしゃるのでしょうか?お聞きしたいですね。
 特に北朝鮮の責任について何かおっしゃらないのか、何か言うほど問題をご存じないのか…


サハリン残留韓国・朝鮮人 韓国帰国、旧ソ連拒否

 太平洋戦争前から戦中にかけ出稼ぎや徴用などでサハリンに渡り取り残された朝鮮半島出身者の帰国問題で、一九七四年当時、コルサコフ(大泊)など在住の二百一人が日本を経由した韓国への永住帰国を希望したが、旧ソ連が拒否していたことが二十日に韓国政府が公開した外交文書でわかった。北朝鮮が影響力を行使したとみられる。

 少なくとも私などには、日本よりもまず話を持っていく先があるのではと思えてしまいます。日本のほうがお金を出すという理由で来られているのではないかと「邪推」したくもなります。


 今の時点で、私が説得力のある「ことの経緯」と考えるのは以下の記事です。
 「戦後補償」の亡霊にとりつかれた日本のサハリン支援(「正論」平成17年1月号)

これまでの日本の拠出総額は六十億円以上。「人道的支援」がいつの間にか「戦後補償」にすりかわり、相手方の要求はとどまることをしらない。日本の支援が膨らんだのは、一部の日本人たちが、「四万三千人を強制連行した」「日本が置き去りにした」などと事実とかけ離れたことを触れ回ったからである。そのツケはあまりに重い。

 『正論』などを真面目に受け取れないと言われるかもしれませんが、こと事実関係については是々非々で見るべきでしょう。特に日本に責任ありとする場合、責任を持つべき対象の人数、明確な責任の理由、加えて経緯などをきちんと押さえない場合は「責任」を問うことはできません。

再三、マスコミなどで登場した「四万三千人」という人数だが、これは戦後、ソ連北朝鮮地域から、派遣労働者などとして、サハリンに渡ってきた約二万人の朝鮮族などを加えた数字が“ひとり歩き”してしまったものである。意識的か、無意識か、この混同はずっと続き、“日本糾弾キャンペーン”で使われた。戦後になってサハリンに来た人たちが日本と何の関係もないことは言うまでもない。

 こうした記事内容を打ち消すだけの根拠をちゃんとお持ちなのでしょうか? 少なくとも私には、この論文で挙げられている経緯を疑う理由は見つかりません。(もちろん反証が提示されれば、比較考量します。現時点ではこれを否定するものをまだ見つけていないのです)

 当時の樺太は内地(日本)よりもはるかに賃金が高く、それにひかれて新天地を目指す人が後を絶たなかった。一度行っても、「もう一度行きたい」と希望する人も少なくなかったという。これは朴氏らが帰還運動を進めるにあたって、サハリン残留韓国人から聞き取り調査を行った結果、明らかになった事実である。もちろん、「強制」ではなく、「自分の意思」であった。

 援助を要求する人々に正当な理由がないのなら、「人道」措置だと言われても納得はできません。人道支援を必要とされる方々は世界にいくらもいらっしゃいます。できるだけ優先順位をつけて、本当に困っている方、自分の力ではどうにも立ち行かない方に先に支援が回ることを望みます。(出すことが責務ならば)

 終戦時に四十万人以上いた日本人は、二十一年十一月に締結された「米・ソ引き揚げ協定」によって、二十四年までに、そのほとんどが帰国した。だが、終戦後、ソ連が実施した人口調査によって「無国籍者」と分類された朝鮮半島出身者は、引き揚げの対象に含まれていなかった。その理由は必ずしも明確ではないが、当時、米占領下にあった日本は「この決定」に関与していない。というより、関与できなかったのである。

 当事者の残留者の方々、支援するピースボートの方々、記事にした朝日新聞関係者が納得のいく説明をなされば、私も意見を変えることにやぶさかではありません。
 しかし今のところこの方々のケースについては、以下の「龍二」氏の一言に尽くされているかと…

日本は、ロシアに住む朝鮮人に対して補償をしろと言う事か。


・・・・え?


 無際限に被害を主張する人は、事実関係も目に入れずに闇雲に庇う人たちがいる限り、現代の「両班」と呼ぶにふさわしいかと思います。先に挙げた方々が、そういう無闇な人たちでなければいいのですが…。