中国のAIDS

 おおまかな状況(表沙汰になったもの)のまとめはサーチナにあります。
 中国エイズ状況−噂される感染拡大の事実とは

1985年に最初の患者が発見されてから、現在までに8万人のエイズ患者を抱える中国。HIV(Human Immunodeficiency Virus)感染者は84万人に達するといわれている。エイズに対する理解の低さ、広がる感染経路という深刻な事態の中、政府や民間団体が協力し、ここ数年を通してエイズ予防キャンペーンを続けて来た。


一方で、中国のエイズ感染状況に関して様々な報道が飛びかっている。曰く、エイズによる死亡者はすでに22万人に達している。曰く、HIV感染者はすでに100万人を超えている。曰く、2010年までに感染者は1000万人に膨れ上がる。


新型肺炎SARSまん延時における、感染者数の過少申告という「前科」がある中国の発表にいまひとつ信頼をおけない一面も存在する。実際感染はどこまで拡大しているのか、中国におけるエイズ報道を、この特集では追跡する。

 おおよそ都市部でのAIDS,HIVウィルスに対する認識は高く(中国の都市部住民93%がエイズについて聞いたことがある…)、地方住民はその4分の1程度の認識しかない…というようなデータが上記まとめニュースのいくつかで触れられていましたが、「聞いたことがある」人が9割いて安心できるというニュアンスなのでしょうか?私などは「聞いたことがある人が9割」という表現自体に不安を掻き立てられる方です(笑。
 また都市部住民の73%がAIDSの感染経路について正確に認識しているとは書いてありますが、「94%の都市住民が、自分はHIVに感染する可能性は低いと考えている。そのため、日常生活においては35.3%の男性が中国にエイズが存在するからといって自分の行動に変化は生じないとしている」というところからみて、どのくらいの「正確な認識」かに大きな疑問も湧きます。


 日中グローバル経済通信より引用

中国:麻薬使用者79万人、35歳以下が70%占める  2005年06月30日 00時00分


中国の麻薬使用者は2004年末時点で前年比6.8%増の79万1000人に達した。このうち、35歳以下の青少年が70%を占め、麻薬による死亡者数は累計3万3975人に達した。累計8万9067人と報告されているHIVウィルス感染者のうち、静脈注射による感染者は41.3%を占めている。


これまでに全国2102の県、市、区で麻薬使用者が発見されており、県、市、区総数の73.5%を占める。ヘロインの使用に年間270億元が注ぎ込まれ、政府は毎年数十億元を投入して麻薬中毒からのリハビリと労働による再教育を施している。


国家禁毒委員会の担当者によると、政府は組織的な麻薬撲滅・予防、リハビリ、入手先元の根絶、使用の徹底取り締まり、簡易型毒性化学物質や麻酔薬品、精神薬物の取り締まりなど5項目にわたる運動に取り込み、麻薬問題の効果的な解決を図るとしている。

 このような状況も、麻薬問題に限定されずAIDSの蔓延に大きなファクターとして働かないとも限りません。


 2003年で都市部人口は5億2000万人ほどに推定されていますが、農村部人口は7億6851万人とそれよりも多いわけですから、農村部のAIDSに全く無知な人たちが億人単位で「何の危機感も覚えず」に暮らしている状況があるのです。しかも貧困層が多く「衣食足りて」いない農村部に、そうそう「礼節」を知ってもらうわけにもいかないでしょう。すぐに症状が現れる感染症と異なり、発症するまでに時間のかかるAIDSでは知らないうちに感染者が爆発的に増加することもあり得ることですし。
 SARS騒ぎの時以降中国の情報開示が進んだとも聞いておりませんし、人命を重く見るようになったという感触もありません。官僚主義的な制度の中で面子や政治が少々の人命より重視された場合、水面下で一気に感染が広がる事態もあり得るということは、隣国として考えておかねばならないリスクだと思います。


 あのSARSの時でさえ、中国は政治を前面に押し出して台湾のWHO加盟阻止の態度を全く変えませんでした。彼らの主張する「自国民」が生命の危機に瀕しているにも拘わらずです。
 中国のAIDSは極めて真剣に憂慮すべき事柄だと考えています。少なくとも現体制の下では、不発弾を抱えているようなものかと…