全国戦没者追悼式

 昨日8月15日は終戦記念日でもあり、全国戦没者追悼式が行われました。私は勤め先から早めに家に帰り、テレビでひっそり観させていただきました。
 この追悼式の主旨や歴史についてはこちらの官邸の情報が簡潔にまとめております。(閣議決定の詳細などについてはこちらで)


 この式で追悼されるのは「日中戦争以降の戦争による全戦没者」の方々でもちろん民間の方々も含まれておりますが、「追悼・平和祈念のための記念碑等施設の在り方を考える懇談会(第2回)」の議事要旨には以下のような応答が記されています。

○厚生省に確認したい。全国戦没者追悼式ではいわゆるABC級の戦犯の御遺族にも招待状が送られているということか。


○(厚生労働省)平成4年まで白菊遺族会といういわゆる戦犯関係の遺族会をつくっていたらしいが、その方には招待状を出していた。


○ということは、当然の帰結として真ん中に立っている「戦没者之霊」の中にはA級、B級、C級戦犯も含まれるということか。


○(厚生労働省)そういう方々を包括的に全部引っくるめて全国戦没者という全体的な概念でとらえている。


○全国戦没者追悼式にABC級の戦犯の御遺族が招待をされていて、霊の中にはそれが含まれるということについて今まで何か批判があったか。外務省に伺いたい。


○(外務省)戦没者追悼式に関してどうこうということは、私の知る限りない。


 靖国神社に小泉氏が参拝するかしないか、また誰が行ったとかいかないとかいうことを騒ぎ立てるのはおかしいと思っておりますので、特に昨日は沈黙することで態度表明いたしましたが、上記追悼式(公式)の方に対する批判がないということは小さくない意味をもっていると思いますので今日の日記に書こうと考えておりました。
 うまく言葉でまとめきれていないのですが、首相の靖国神社参拝を批判する方々が全国戦没者追悼式をお構いなしとするならば、その違いを考えてみることは意味のあることだと思います。(特定の宗教色を除くことをうたっているとはいえです)
 少なくとも

  • 日本国の公式行事として戦犯とされた方を含む死者に追悼することには問題が無い
  • 戦犯とされた方を含む戦没者の追悼行事に首相が出席・式辞を述べることには問題が無い
  • この公式行事に天皇ご夫妻が臨席され、お言葉を述べることには問題が無い
  • ここに公費が支出され、戦犯とされた方のご遺族にも交通費が出されることも問題は無い

 ということは言えるのでしょう。


 靖国神社は一つの宗教法人に過ぎないものですし、首相は「公式」参拝はしておりません。また追悼式で「戦没者の霊」の存在を信じ、それを追悼するのは私には宗教的行為だとしか思えませんのでますますわかりにくいところがあるような気がいたします。


 そこにあるのは靖国神社というものに対するイデオロギー的忌避でしょうか?
 もう少し考えてみる必要がありそうです。