「生殖レイプ」の被害者?

 今朝のフジの「とくダね」で、ミラー紙が報じた以下のニュースが採り上げられていました。
 EX-WIFE 'STOLE MY SPERM'(前妻が「私の精子を盗んだ」))

 A MAN has been ordered to pay £88,000 in child support for a baby conceived after his ex-wife allegedly stole his frozen sperm.
(一人の男が、前妻が彼の凍結精子を盗んで妊娠したと申し立てていた赤ちゃんに、養育費として£88,000(約1773万7千円)を支払うよう命じられた)


 Deon Francios, 34, claims he is a victim of "reproductive rape" but agreed to pay £85 a week until his son Nazair is 21 in his divorce settlement.
(34歳のDeon Franciosは彼が「生殖レイプ」の犠牲者であると主張するが、離婚調停の中で彼の息子Nazairが21歳になるまで毎週£85(約17127円)を支払うことに同意した)
 ※男性の名前のFranciosはおそらく誤植。記事の下の部分でもFrancois>フランソワになっている。
(以下略)

 「とくダね」で報じられた前後関係では次のように言われていました。

 34歳の夫と36歳の妻が不妊治療を受けていた。夫の精子は大学病院の不妊治療クリニックに凍結保存されていた。二人は別居して離婚調停に入ったが、その時期に夫の精子が解凍され、それを用いた人工授精によって妻が妊娠し今10ヵ月になる赤ちゃんがいる。その後離婚は成立し、妻が子供の養育費を元夫に求めてきた。
 夫が妻の妊娠を知ったのはすでに妊娠6ヶ月を過ぎた時点であり中絶はできなかった。夫は自分が知らないうちに勝手に自分の精子を使って妊娠されたということで、子供に養育費を支払うべきかどうかで裁判になった。
 精子の凍結解除および人工授精などの手続きには夫婦の同意書が必要。そこには夫のサインもあったが、夫側は妻の偽筆によるものだと主張していた(つまり自分はその子の妊娠には同意していないという主張)。
 DNA鑑定により生まれた子は夫婦の実子であることは確認された。
 ブルックリンの連邦最高裁は、離婚成立前の妊娠による子供の養育義務が父親にあるという理由で(同意書の偽筆問題には関係なく)元夫に養育費(子供が21歳になるまでの合計が1773万7千円)を払うことを命じた。


 先のミラー紙ではちょっと扇情的な一節

 His lawyer John James said: "He's a victim of reproductive rape."
(彼(元夫)の弁護士のジョン・ジェイムズは「彼は生殖レイプの被害者だ」と言った)

 が入れられていました。確かに意に染まぬ(離婚調停中の、同意に基づかないと彼が主張する)妊娠というものに、それぐらいの表現をしたくなる気もわかりますが、偽筆問題にかかわらず挙げられた判決理由にはやはり理があるでしょう。離婚調停に入った段階で、クリニックに自分の精子を使わないように(もしくは廃棄するように)請求しなかったというところに元夫側の責任はあると思います(かわいそうといえばかわいそうですが…)
 後でここらの問題について書きたいと思っています。