外来種

 ビワコダイというものをご存知ですか? もしかしたら滋賀の方でも聞いたことがないという人が多いかもしれません。実はこれ皇居のお堀にもいると言われている「ブルーギル」につけられた異名です。
 何のためにこの名がつけられたのかといいますと


 食べるため


 です。もともとブルーギルはまずくない魚と言われますが、怪しげな外来種の名前がついていると食指が動かないという人が多いのも事実。パタゴニア・ツースフィッシュなどという魚名では売れないということで「銀むつ」の異名で売られていた魚がありましたね。(あれには「メロ」という名前もありましたが、標準和名は「マジェランアイナメ」でした)
 魚に関する日本の食文化は保守的であると思います。当たり前のことですが、時に生で食べることもある魚は、その文化の中に位置するものとして馴染みの「名前」がないと抵抗感が生れるというわけでしょう。
 今は表記について一定の枠が課せられましたが、かつて「白スズキのしょうゆ漬け」なるパックを購入し、家に帰って原産地をみたらアフリカ・ビクトリア湖だったのにびっくりしたことを覚えています。これは「ナイルパーチ」という魚と調べをつけましたが、ビクトリア湖のナイル・パーチと書いてあったらおそらく買わなかったことと思います。
 スタンリーに倣ってただ一言「リビングストン博士でいらっしゃいますね?」*1とは言ったかも…


 さてビワコダイだけでなくビワスズキというのも琵琶湖で採れており、こちらは実はブラックバスです。ニゴロブナならぬビワコダイやビワスズキの熟れ寿司というものが作られているそうで、1パックに2尾入って750円ですから《道の駅 草津グリーンプラザからすま》に寄る機会があれば買ってみたいものだと思います。
 写真と詳しいことはこちらのサイト(←クリック)でご覧になれます。


 さすがに魚の外来種と来日外国人を同列に語るつもりはありませんが(笑)「鮒寿司」ならぬ「ビワコダイ寿司」としてブルーギルがもっと食されるようになるとしたら、それは日本の伝統へ新たに組み込まれるということにもなりますし、こういう方向はちょっと示唆的ではないかなと思いました。

*1:"How I found Livingstone", 1872