テレビの話

 今日見つけて読んだ記事(シリーズ3話)ですが、明らかにおかしい記述があると思います。
 テレビが消える日:/1 業界に9.2%ショック 「アナログ停波」周知進まず

 2011年7月24日−−この翌日から、いま国内にあるテレビの大半は、粗大ゴミになる。日本のテレビ放送がアナログから地上デジタル放送に切り替わり、デジタルチューナーの付いていないテレビは映らなくなるからだ。だが、残り5年余となった現段階でも、国民への周知すら進んでおらず、未解決の課題も山積している。知られざる巨大プロジェクトの「今」を、シリーズで報告する。【中村美奈子、大迫麻記子】


毎日新聞 2006年1月5日 東京朝刊)…強調部引用者

 何かの「ためにする話」なのか、それとも知識が本当にないのか、2011年のある日を境に「いま国内にあるテレビの大半は、粗大ゴミになる」ようなことは絶対にありません。
 「デジタルチューナーの付いていないテレビは映らなくなる」のは本当でも、デジタルチューナーを外付けすればいいからです。もちろんデジタル化の恩恵をフルに受けられるかどうかはケースバイケースではありますが、少なくとも見られなくなるなんてことはありません。(細かく言えば、アンテナも従来のままではいけなくなりますが、チューナーとアンテナで何とかなるのは確かです。逆に言えばデジタルチューナー内蔵のテレビであったとしても、今まで通りのアンテナではデジタル放送は映せません。ですからそこに差はないでしょう)


 また文中には「アナログ専用のブラウン管テレビ」のことしか書かれていませんが「デジタルチューナー内蔵のブラウン管テレビ」もまだ販売されていまして(風前の灯火かもしれませんが)、実は画質はまだまだブラウン管>液晶・プラズマということだって言われているのです。(たとえば一般人無双Rさんの★薄型TVを買うべきじゃない10の理由(前編)★などを参照してください。また某所の「ハイビジョンブラウン管TV総合スレ」も結構な盛り上がりを続けています)


 ただ設置面積や本体重量に関しては液晶の方が上でしょうし(プラズマは重いです)、確かに田舎のおじいちゃんおばあちゃんが(簡単なこととはいえ)外付けデジタルチューナーを買ってきて接続するのは敷居が高いかもしれません。現時点でまだ5万円から上の価格ですし…。またデジタル映像の高精細のメリットを従来の受像機で得られない(画面も4:3ならなおのこと)ということもあるでしょう。
 それでも使えるものを「粗大ゴミ」と嘘をいっちゃいけないと思います。


 シリーズ3話目でほんの少しこの「チューナー」の話を出していますが、デジタルチューナーがどんどん作られるようになれば当然値段は下がってきます。今だって、デジタルチューナー本体の現行価格にほんの少し足しただけで、そのチューナー付きのHDD・DVDレコーダーが売られています。このHDDレコの分野は競争が激しく、型落ちになるとすぐに半額ぐらいのものまで見かけますから、チューナーを買うつもりというよりはHDDレコを買うつもりで数万円かければデジタルチューナー問題はクリアという風にもできると考えるのですが…


 比較的まとまった記事だと思いますし、不用意な記述は残念です。本当に現行のテレビが「粗大ゴミ」になって欲しいのは、もっと利幅の大きなデジタル家電を売りたい業界です。安いブラウン管からはどんどん手を引いていっています。私はそれに振り回されたくないので、今のSDテレビ('94年製)をぎりぎりまで使い続けるつもりでいますし、2011年までに壊れるようでしたらまたリリーフに安いブラウン管テレビを買おうかと思っています。何もあわてさせられる必要はないと信じてますから。
 なんでこう記事に不必要に煽り文句がでてくるんでしょうかね…。