ミシュラン騒ぎすぎ

 昨日のミシュランガイドブック日本版発売イベント、今朝に至るまでNHKあたりも嬉々として騒ぎすぎ、という感想です。食べ物に関する共通の舌・共通の権威なんか信じられるものかと天邪鬼。
 ミシュランはたまたま今履いているんですが立派なタイヤメーカーですよ。タイヤの評価云々というのでしたらグローバルスタンダードとかいうものがあってもあまり不思議に思わないですし、ミシュランがそこで評価されるのは嬉しいです(今使ってますから)。でもミシュランがする側の評価で、レストランの格付けといいますか日本料理や寿司屋、鰻屋の味の評価までありがたがってどうするという感じです。
 イベントやお祭りが悪いとは一概に言えないとしても、そこにあたかも確固とした客観性や権威があるかのような報じ方はいけないんじゃないかと思うわけです。たとえばフランスの中で、フランス人旅行者対象に、フランス料理あたりの味やサービスの評価をするのなら、それはそれで続いている格付けガイドとして認められるでしょう。しかし全然違った味も多い多様な食文化の中で、日本人対象に(日本版は仏訳されないそうですし)、フランス料理を越えた大枠での料理評価がそう簡単にできるとは思えません。
 5人の覆面審査員の中で日本人が二人いるとか、彼らがフランス本国でも数週間研修を受けたとも聞きますけど、その二人がミシュランの看板なしにたとえば和食を評価したとして、それがどこまで通用するか誰か的確に判断された方はいらっしゃるのでしょうか。まして残りのフランス人の方は、どれだけ和食(的なもの)の評価に長けているのでしょう。
 フランス人に和食はわからないなんていうことは申しません。私なんかより「高級な」和食を数多く食べられている方もいらっしゃるでしょう。中には飛び切りの感性で和食を楽しまれる方がいても不思議ではないと思います(それが何人であっても)。
 でもそれは、すぐに彼らが日本人向けの和食の格付けができることを意味しませんし、まして何らかの権威となってしかるべきとは到底言えないものです。ミシュランガイドブックが、日本でのフランス料理中心のレストラン評価をするとか、あるいはジャンルを問わないならばフランス人旅行者の舌にあうものを彼ら相手に紹介するとか、そういうことだったらまだ納得もできるのですが…


 何でこんなにナイーブに有り難がれるのか、とても不思議です。