教祖と相談

看護師、宗教勧誘で停職

県立友部。病院患者に改宗迫る
 県病院局は17日、患者やその家族に信仰する宗教の改宗を迫ったり、勤務時間中、同僚に自らが信仰する宗教への改宗を薦めたりしたとして、県立友部病院(笠間市)の看護師の女性主任(48)を停職3か月の懲戒処分としたと発表した。


 女性主任は2005年から、入院患者に対し「○○の宗教をやっているのにこんな状態になるなんて」などと改宗を迫ったり、勤務時間中に宗教の本を持ち歩いて、ほかの職員に信仰を薦めたりする行為を繰り返した。女性主任は処分について、「教祖と相談する」などと話しているという。同局は、管理監督が不十分として看護局長を厳重注意処分とした。(後略)
(2009年4月18日 読売新聞)

 病気癒しと宗教の関係、現世利益的なそれは、今なお日本の宗教の現場においては無視できない大きな問題を抱えていると考えます。信心によって「治った」と認識するのは良いのですが、おそらくそれは「治った」時点から振り返って因果関係を見いだす類の転倒した認識と捉えるべきであって、第三者にもすぐそのまま通用する(客観的な)「因果」ではないのです。
 いずれにせよ移動の自由がない入院患者に向かってしつこく勧誘したり、患者の信仰をあしざまに否定したりする態度は責められて然るべきもの。教祖さんとすぐに相談できるぐらいの小さな宗教団体なのでしょうが、ここでこの女性を窘めないような教祖さんなら、今日この社会での教線の拡大は望めないような気がします。
 信仰の本当の秘儀は、ここで病気が治ったり失った身体の一部が元に戻ったりするような奇跡にあるのではなく、本人には理不尽に思える病気や障碍の意味を与え、そういう困難の中でも前向きに生きていくことができるようにする、そういう側面にあると私は思いますし、それこそが奇跡であろうと考えています。