夢考

胡蝶の夢

ウルトラマンマックスでも『胡蝶の夢』(第22話)として実相寺昭雄監督に取り上げられた『荘子』ですが、これがとても哲学的深みを感じさせてくれるのは諸方で語られる通りです。 昔者、荘周夢為胡蝶 栩栩然胡蝶也 自喩適志与 不知周也 俄然覚、則遽遽然周也…

夕べの夢

気にかかることを抱えて寝た夕べの夢は、一つの展開を無造作に告げてくれました。 そして目が覚めてネットにつなぐと、その夢がある意味成就してしまっていました。こういう経験をすると「予知夢」の存在を信じたくもなります。 ただ夢のつづきも確かならば…

夢あはせ

宇治拾遺物語 伴大納言事 巻一ノ四 これも今は昔、伴大納言善男は佐渡国郡司が従者也。 彼国にて善男、夢に見るやう、西大寺と東大寺とをまたげて立ちたりと見て、妻の女にこのよしを語る。妻のいはく、「そこのまたこそ、裂かれんずらめ」と合はするに、善…

夢と運命4

昨日までは古代ギリシアの夢見を概観し、そこに変えることのできない運命を知らせる「前兆夢」という夢の捉え方を見ました。また同時に、それとは異なる夢の受け止め方がアスクレピオス神に関わる治癒的夢籠りの場にあるのではないかと、それについてちょっ…

夢と運命3

昨日は、古代ギリシアの人々にとってある意味「夢(の知らせ)は運命に従属」していたということを書きましたが、通常の意識において、人々が運命論的な諦念を常に抱いていたとまで考える必要はないと思われます。一身の平穏や幸福を神々に祈る時、そして明…

夢と運命2

昨日書いたように古代ギリシアにおける夢に関しては様々な相が言及され、それぞれの研究がなされていますが、その夢の一般的な受け取り方にはどのようなものがあったのでしょうか。 古代末期、ローマ帝政時代の初め、ハドリアヌス帝の時代にアルテミドロスの…

夢と運命1

夢が歴史を通じて万人に共通の体験であったとしても、夢を見ることが担ってきた意味、受け取られた解釈は千差万別です。あるいはものの見方を変え、人生の転機ともなる場合もありますが、全く無意味なものとして顧みられないこともあります。近代以前の圧倒…